昼休みに中庭で侑に告白されて、お兄ちゃんに電話したあと。
同じクラスなので二人で教室に戻った。
(早速、何でバレてるんだろ…)
(ふーん…本人情報…)
(侑…でしょうね)
出来るだけ冷たい声で話し掛ける。
この子達の言うことに特に間違いはない。
つまり、私は…怒っている。
耳が熱くなっていくのが分かる。
(…もう嫌だ…恥ずかしい)
(耳、キーンてする…)
(…私そんなに可愛くないのに)
侑に手を繋がれ、引かれ、階段を登る。
(恋人繋ぎじゃん)
侑に手招きされて近寄る。
ざわざわと、校庭にある人がこっちを見上げる。
教室の窓からも、沢山の人が顔を出す。
(…手繋いだまま)
ここまでくると、侑が何をしたいのかもう分かった。
でも。
(嬉しい…って思っちゃうんだから、私もう駄目だ)
(こんな大声、久々に出した)
生徒『えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎』
クラスメイトも窓から顔を出して、手をブンブン振っている。
(今更だけど、恥ずかしすぎる…)
もう耳どころか体中が熱い。
まだ手を繋いだままの私達は、そのまままた侑に手を引かれて教室へ戻った。
まあその途中、学校中の生徒・先生に声をかけられ。
屋上から、5階を通って4階の教室へ戻るまで実に20分かかったのは言うまでもないだろう_
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。