鴉から、知らせが来た。
無一郎さんが、刀鍛冶の里で上弦を倒した。
鴉 「生きてるよォォ!」
夜になった。
無一郎さんが帰ってきた。
少し体調は悪いようだけれど、生きてくれていただけで涙が出るほど嬉しかった。
無一郎さんは、雰囲気が変わっていた。
どこかと聞かれたら答えられないが、どこかが。
無一郎さんは、笑った。
その笑顔は、かつてのあの笑顔と同じで、私は涙を抑えられなかった。
ーーー
それから暫くして、無惨が産屋敷邸に来襲。
私は居場所を掴まれていなかったのに加え、戦地からは遠いところにいたため、輝利哉様の警護についた。
無一郎さん、どうかご無事で。
でも、神様仏様なんてこの世に存在していなかった。
鴉「時透無一郎ゥ上弦の壱との戦いで死亡ゥ!」
あとからあとから涙が溢れだす。
一緒にいようって約束したじゃない。
嘘つき。
でも、悲しんでる場合ではない。
私は涙を拭って、前を向いた。
ーーー
数ヶ月後
桜の木を見上げながら、微笑んでいる1人の少女がいた。
次々と舞い落ちる花びらに包まれた少女の隣には、今はもう居ない、鬼殺隊霞柱の姿が確かにあった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。