大倉side
あれからあなたは何回か起きてはいたけどほとんど寝た状態。
さっき章ちゃんから電話があったからそろそろ家をでないと。
まだ気持ちよさそうに寝ているあなたを抱いて車に乗せて病院へ。
小児科の外来に行くと章ちゃんが待合室で待っててくれてそのまま診察室へ。
診察室の椅子に俺が座って俺の膝の上にお姫様抱っこをする形であなたを抱く。
その振動で目が覚めてもうたあなた。
ああっ……泣かんといてや…
優しく声をかけて慰めるも"病院"という雰囲気が嫌なのかどんどん溢れ出る涙。
熱もあるし、余計にやな……
可哀想に…できることなら変わってあげたい(撫)
そんなことを考えながらあなたを宥めていると章ちゃんが戻ってきた。
マスク姿で目元しか見えへんから章ちゃんやと気づけないあなたは遂に声を出して泣いてもうた。
だから章ちゃんが慌てて「ほら、」って言うてマスクを外して安定のにっこりスマイル
俺も章ちゃんのこの笑顔に何度救われたことか。
あなたも章ちゃんやと分かったからか少し大人しくなった。
まだ涙は止まらず出てもうてるけどね……
あなた(汗)
そんな警戒で章ちゃん見てどうするん…
そんなことしてもやらなあかんことには変わりないんやで(笑)
あなたに見えるように口を開けて見せるも効果なし。
さっきまで出てた涙はぴったり止まって、今は章ちゃんの顔をじーっと警戒した顔で見つめてる。
ここに来たら嫌な思いしかしてへんからな…
すぐ終わる言うても嫌なもんは嫌なんよな〜って心の中で共感してまう(笑)
俺自体がそもそも病院嫌いやし。
それなのにさらに嫌なことされるなんて……嫌になるに決まってるやんか
あかんあかん…そんなこと考えてもなんも意味ないわ。
この調子やとどんだけ説得しても聞かへんと思うねんけど…………
章ちゃんどうするんやろ…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。