聴き終わった直後、思わず涙がこぼれる。
浦島坂田船の皆さんの声だった。
途中で録音とかを流してるんじゃないかって思ったけど皆さんスマホを机の上に置いていたから違った。
…っ私……。
本当に浦島坂田船に会えてしまった…、。。
……でも幸せが増えたから、死ぬのが早くなるの…?
……“また”病院生活送るの…?
嫌だ。そんなの絶対に。
嬉しい気持ちと死ぬ恐怖……様々な感情が私を襲ってきて徐々にパニックになる。
過呼吸が止まらない。
元々涙でぼやけている視界が更に濃く深くなっていくのを感じる。
坂田さんたちはゆっくりと息を合わせて私が息をしやすいようにしてくれる。
……でも私はやらない。
否、できないんだ。
また幸せを感じてしまいそうで、すぐ死んでしまいそうでまた病院生活を送りそうで。
何故かしようとしてもまたあの恐怖が蘇ってそれを阻止する。
意識を手放す直前、
…と懐かしい声が聞こえたような気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。