前の話
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とある日の皆が寝静まった頃
一輝は静かに外へ出た
今の季節は、夜でも蒸している
そんな夜道をただひたすらに歩き続ける
内から見ていたバイスが話しかけてくる
急に下がった声のトーンにバイスは
出してくれと頼み外へ出た
街灯に照らされ時折、見える一輝の表情は
どこか悲しみに覆われた様だった
一輝のその言葉に、バイスは何もフォロー出来る言葉をかけてあげられず悔しかった
バイスのいきなりの言葉にちょっとビックリした一輝だが
すぐに微笑んだ
そう言う、一輝とバイスは来た道を戻りしあわせ湯へと向かう
着いた頃にはいつの間にか夜が明けかかっている
中へ入り一度二階へ行きいつも通りの支度を済ませる
一番風呂に入りたいバイスとそれを止める一輝の
声が浴場へと消えていく
一輝からブラシを受け取り逆側を掃除し始める
すると浴場に顔を覗かせる者が2人、、
大二達は、脱衣場のモップがけを行う
4人で分担をし掃除を手早く終え
湯船にお湯を入れ始め開店準備も整える
全て終えリビングへ向かうと、さくらも合流し
いつもの様に食卓を囲もうとした時
ガンデフォンに警告通知が
一輝とバイス、大二、さくらは
しあわせ湯を飛び出した
街では、繭から放たれた3体のギフテリアンが人々を襲っていた
「「「変身!」」」
いくら3体とはいえ以前より強くなっているのか
追い込まれる状況だった
追い込まれつつ戦略を考えていると一輝は
インビンシブルジャンヌとエビリティライブがほぼ同じ場にいる事に気がつく
「『はっ!』」
アルティメットバイスとアルティメットリバイは
同時攻撃で
ギフテリアンを3体を同じ場所に集め
瞬時に3方向を囲う
「『バリボルローリングサンダーゲイル!』」
「『エビリティパーフェクトフィニッシュ』」
「『キングコブラスタンピングスマッシュ』」
今回、街を襲っていたギフテリアンは
4人がかりでだが倒す事が出来た
そう言うと大二とさくらは先に歩き出した
が、一輝がついて来ていない事に気づき振り返る
一輝は、何かを考えるかのように
その場に立ち尽くしたままだった
早く帰って来てよ。
そう言い残して大二達は先にしあわせ湯の方向へ
足を向けた歩き出す
一輝は2人の背を見送ってから近くの階段へと腰を下ろす
大二は一瞬考えたがすぐ納得した表情になる
さくらの問いかけにカゲロウは、出すこと求めて来たため
これ以上、騒がれても面倒なので出すことに
出かける話していたはずが
いつの間にか呼び方の喧嘩になっており
大二は止める気が起きず
数歩後ろから見守ることに
その一言にその場の空気は一変した
そして慌てて大二はカゲロウの口を塞ぎ
苦笑を浮かべつつ距離を取る
背後から聞こえるトーンの低い殺気のこもった声に
2人の背筋は静かに伸びる
最後に放った一言が完全に怒りに火をつけ
しあわせ湯に逃げ込んだカゲロウを
さくらは、すごい剣幕で追いかけていった
それを途切れ途切れの苦笑をしながら見送り少し時間差で
中へ入る大二
その頃一輝とバイスはまだ先ほどの場所にいた
先ほどの戦いでまた
何かを忘れ何かを忘れかけてしまった一輝は
それを整理したいために1人残ったのだ
先ほどより一気に声のトーンが下がる
一輝の口から発せられた事にバイスは驚きを隠せずにいた
そんな事を言いながら一輝は立ち上がりバイスの振り返る
この時はまだ、いつもより多くの記憶が消えている事に
どちらも気づいてないなかった
一瞬、ん?と思ったがカゲロウの姿を思い浮かべて
納得したように小さく頷く
そして朝ごはんをレンジで温め食べ始める
そんな会話をしながら一輝は食べ終わった後の
食器を洗い、バイスはそれを拭き元に戻す
その後は何も考えずガンデフォンとは別のスマホを開く
しばらく時事ニュースを見ていると大二から着信が
出かけ先に誘われたが少し考えた結果
やる事がある。そう答え電話を切った
そしてバイスを連れて2階へ行く
バイスの返答を聞き一輝は笑いながら財布を取り
ボディーバックに放り込み
大二の部屋から自転車の鍵を取り
外へ出る
自転車を漕ぎバイスと話しながら目的のお店へ向かう
バイスの助言を聞き家族それぞれの色とアルファベットのビーズ
をかごに放り込む
するとバイスが何かを見つけたらしく手招きをした
そこには平仮名のチャームの部品
そっか。と納得をし
【いがらしいっき】
この7文字分の部品を手に取りカゴへ
そして必要な買い物も済ませて
しあわせ湯へと向かう
晩御飯後、一輝は一足先に部屋へ行き
それぞれの名前と自分の名前の一文字が入った
チャームを作っていく
その日の夜が深まりみんなが寝静まった時間
一輝は静かにリビングへと向かう
そして飾ってある、一つ一つの写真を見ていき
自身の消えたものがあればそっと回収をして部屋に戻る
そう言いながら一輝は押し入れの襖を開け奥にある段ボールを引っ張り出しその中へ回収した
写真を入れ定位置へ戻す
そして、机の電気をつけ買ってきた便箋を取り出し
家族へ宛てた手紙を書く
ふと、バイスが手元に視線を落としてみると
所々の文字が滲んでいた
確か一輝は、滲むほどのペンを使ってないはず
と思い
チラッと一輝の顔を見ると
頬を伝う物が、、
一輝はちょっと驚きながら自分の頬に触れてみると
確かに涙が伝った跡が
椅子から立ち上がった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。