1年後…
お兄ちゃん…見てるかな?
聞いてるかな?
私は今、とっても幸せです。
新門桃華って名前になってね、今お腹に赤ちゃんもいるんだ。男の子だって!
あの日、お兄ちゃんが守ってるれたから私は今ここにいます。ありがとうお兄ちゃん。幸せをくれて
私に幸運をくれて
紅丸が桃華のお腹に耳をあててみる。
その様子を見て桃華がふふっと微笑んだ。
お兄ちゃんが亡くなったあの日から数日後一緒に街を歩いてたあの日紅がね、言ってくれたんだ。
桃華は目を見開いた。目の端が熱くなる。
しばらく間を置いて紅丸の手を取り微笑んだ。
”愛してる”
2人の声が重なった。
同時に吹き出すとお互いの顔を見合った。そしてそっと口付けをした
私は今を大切に今日も生きていく…産まれてくるこの子に悲しい思いをさせない…絶対に。
浅草の不幸恋神華紅羅桃華は普通の幸せを手に新門桃華として生きてゆく…
これこらも…この先も…ずっと…
【完】
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!