第2話

 ひょんなことから
2,469
2020/08/31 11:32
「気色悪い女。」
目の前のけだるけな男は確かに
そう言い放った。
初対面な人にこんなこと言われたのは
初めてで怒りよりも驚きが勝った
それに色素の薄い瞳が
まるですべてを見透かすようで
バレた…ようで怖かった。
「えぇ、ひどいなぁ」
だとしても、
それでも何があっても、
仮面をかぶって言葉を紡ぐ。
その言葉に私はいない。
あるのは
「あの人なら」という

あの人の偽物だけ。
「気色悪いから′′それ′′で近寄んないで」
そう言い残し
その場を去った男子。
「なに、あれー?」
「意味分かんないね
気にしないでいいよw」
私にそう話しかけてきたのは
素村 心。
気が強くてお金持ちのクラスの女王様。
彼女に逆らえば最後…、
クラス、いや学年全員が敵だ。
「いや、気になんないし?笑」
私は明るく返して
あくまでも心の機嫌を損ねないように。
「ええ、やっば!!
 もうこんな時間?!
 ちょ、ダッシュで行ってくる!
まーたね!」
ツッコまれそうな天然キャラを演じて
あの男子を探した。
「もー!行ってらw」
そんな声を背後に聞きながら
私は彼を探す。
まもなかりゅう
間中 隆…だっけ。
誰にもつるまない…クールで物静かな男子
だけど文武両道で顔がいいから、
モテてる。

まさに孤高のイケメンってやつだ。
「どこいんのよ…全く…。」
なんとなく…
彼と話をしてみたい。
私がついてきた「嘘」を
暴いてくれるかもしれない__
だけど「嘘」がバレたとき
私は一体どうなるんだろう__
そんな淡い期待と一抹の不安を胸に
私は最後の部屋_南の予備倉庫室へ向かった。
ガチャリ
そっと古びた扉を開ける。
「遅かったね」
扉の先にいたのは。
机に腰を掛けてニヤつく彼__
「…ウソツキさん」

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