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第7話

心霊ちゃん(7)「憑りつかれちゃう?!」


“心霊ちゃん” のシャッター音が鳴り響き、
カホは絶望に襲われる。


と同時に
それまで全身を縛るように押さえつけていた圧力が
ふぅっと抜け、体の自由が戻ってきた。

梓山 カホ
梓山 カホ
……

思わずその場にへたり込むカホ。




 ――自分も、噂話に出てくる被害者や
   昨日の鈴野サナのようになってしまうのか?


このような考えが頭をよぎった瞬間、
カホを襲ってきたのは……




……心臓を押し潰すほどの、恐怖・・



梓山 カホ
梓山 カホ
……ぅ、うそだっ!!
そんな……まさかッ?!?!
私も幽霊に憑りつかれちゃうとかーー
??
??
だいじょーぶだよ、カホさん・・・・

あたしは何もしないから
落ち着いて、ねっ!
梓山 カホ
梓山 カホ
ぇ……?


取り乱していたカホを
ふわっと包んだのは、
あたたかみのある女の子の言葉。

想像していた恐怖とは真逆。

そんな明るさ前回な声を唐突に耳にし
戸惑ってしまったカホは、
声のした背中のほうへと視線を移した。


??
??
こんばんはー♪
やっとお話できるようになったね!
梓山 カホ
梓山 カホ
……


そこにいたのは、
ふわふわと宙に浮かぶ女の子の幽霊。

姿形は人間っぽいのだが、
全体的に白っぽく半透明に透き通っているし、

そもそも空を飛んでいるあたり
「“いかにも” な雰囲気の幽霊」そのもの。



ただし、カホが想像していた
「見るだけで震えあがってしまうような
 おどろおどろしい幽霊」
という像からは大幅にかけ離れている。



というかこの幽霊……かなり可愛い。



梓山 カホ
梓山 カホ
……だれ?


カホがぽろっと疑問をこぼす。
目の前の幽霊に見覚えがなかったのだ。

しかしどうやら幽霊側は
カホのことを知っているらしい。
先程「カホ」と名前で呼んでいたことからして
それは明らかだと考えてよいだろう。



カホの疑問をきっかけに、
女の子幽霊が何かに気づいた模様。
??
??
……あっ
そーいや自己紹介まだだっけ?

悪い悪いっ、あははははっ!
梓山 カホ
梓山 カホ
は、はぁ……


あっけらかんと笑う幽霊。

彼女のマイペースな言動に、
今のところカホはいまいちついていけていない。


梓山 カホ
梓山 カホ
あの……それで
結局あなたは何者なの?
??
??
カホさんは
あたしのこと何者だと思う?
梓山 カホ
梓山 カホ
いやいや、
ヒントも無しにいきなり
そんなこと言われても――
??
??
ヒントならあったじゃん!

さっきあたしのこと
けっこー話題にしてたばっかだよ?
梓山 カホ
梓山 カホ
……


カホは先程の会話を思い出しつつ、
幽霊の女の子を観察してみる。

梓山 カホ
梓山 カホ
(……えっと、年齢は
 たぶん私と同じぐらいだよね、
 学校の制服着てるし

 この制服は確か
 南高のだと思うけど……

 ……ん? 南高……?)



カホの脳内にて、
ハルオミとの会話の一部が再生される。


 ――妹さんがいらっしゃるんですね

 ――ああ、
   君よりも1学年下の高校1年生で
   M市立南高等学校の生徒だ



梓山 カホ
梓山 カホ
……はっ!

まさか……メイリちゃん?!
メイリ/霊体
メイリ/霊体
あったりー♪

改めまして、
ハルオミ兄ちゃんの妹のメイリだよ!

よろしくですっ
梓山 カホ
梓山 カホ
よ……よろしく
メイリ/霊体
メイリ/霊体
はい握手っ!
梓山 カホ
梓山 カホ
あ、うん……

…………えッ?!


差し出されたメイリの手を
反射的に握り返し握手してしまったカホが、
少し遅れて驚きの声を上げた。


梓山 カホ
梓山 カホ
ゆ、幽霊って触れるもんなの?!
メイリ/霊体
メイリ/霊体
あー……えっと
普段は触れないみたいだねぇ……



……よしっ、これでOK


カホさん
この状態で触ってみて!


もう1度手を差し出してくるメイリ。

カホが戸惑いつつも
指先で触れようとしてみると……

梓山 カホ
梓山 カホ
あれ? すり抜けた?

さっきと違い、触ることができなかった。

メイリ/霊体
メイリ/霊体
今のが何もしてない普段の状態ね!

そんで次は
少し気合い入れるよー



 (ふんッ……!)



……おっし

この状態だと触れるはずだよ♪
梓山 カホ
梓山 カホ
本当だ……

今度はさっきの握手の時と同様、
カホはきちんとメイリに触れることができた。

梓山 カホ
梓山 カホ
(……さっきは気づかなかったけど
 
 幽霊の手って冷たいんだな……)


生身の人間とは違って
メイリの手はひんやりしていた。

感触としては弾力があって冷たくて、
例えるなら
「冷蔵庫で冷やしていた蒟蒻こんにゃくゼリー」
というのがぴったりだろう。


メイリ/霊体
メイリ/霊体
それから、こんなことも
できちゃうんだよねっ



 (むむッ……!)
梓山 カホ
梓山 カホ
(?!?!

 ……体が動かない?!)
メイリ/霊体
メイリ/霊体
解除っ
梓山 カホ
梓山 カホ
あ、動いた……


……ってことは
さっきの金縛りとか
体が勝手に写真撮り始めたとかは
メイリちゃんの仕業だったの?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
そーだよ

さっきは怖がらせちゃって
ほんとにごめんね
梓山 カホ
梓山 カホ
ううん、気にしないで、
別に怪我とかしたわけじゃないから!


それにしても、
幽霊ってすごいんだね……

……そういう幽霊っぽいことって
自然とできるようになったの?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
えっとね、
この状態になってからすぐ
いろいろ試してたら、
なんかそれっぽいことが
できるようになったんだよっ

……っていうか
一応言っておくけど、

あたしはちょっと特殊な部類・・・・・で、
普通の幽霊じゃないからね?
梓山 カホ
梓山 カホ
どういうこと?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
普通の幽霊って
死んだあとになるもんでしょ?

でもあたし、まだ生きてるもの
梓山 カホ
梓山 カホ
あ、そういえば
メイリちゃんは意識不明で入院中って
お兄さんが言ってたような……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
そーそー

病院で寝てるのが
あたしの本体で、

こっちにいるほうは
本体から分身した霊体みたいなやつ
だと思ってもらえばOKだよ!
梓山 カホ
梓山 カホ
はぁ……


……というか、
本体と霊体とが分かれちゃうって
只事じゃないと思うんだけど

いったい何が起きたの?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
んーっとね、
詳しくは兄ちゃんが言ってたから
はしょってざっくり説明すると、

“心霊ちゃん” を調べてたら
赤いレア幽霊アイコン発見して、

そこで撮影してみたら
幽霊に憑りつかれちゃってさー
梓山 カホ
梓山 カホ
“心霊ちゃん” で
幽霊に憑りつかれたら
どうなっちゃうの?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
カホさんなら聞かなくても
分かると思うよー

だってカホさんは今まさに
あたしに憑りつかれてる
状態だからさっ
梓山 カホ
梓山 カホ


私、憑りつかれたような実感なんか
今のところ全くないんだけど……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
ううん、
実感してるはずだよっ

だってカホさん、
あたしのこと見えるようになったの
いつからだった?
梓山 カホ
梓山 カホ
えっと、“心霊ちゃん” で
撮影したあとだけど……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
そーいうことっ
梓山 カホ
梓山 カホ
え?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
“心霊ちゃん” で憑りつかれると

憑りついた幽霊・・・・・・・見えるようになる・・・・・・・・

           以上!
梓山 カホ
梓山 カホ
……そ、それだけ?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
うん、そんだけ
梓山 カホ
梓山 カホ
……



カホは絶句してしまった。


メイリ/霊体
メイリ/霊体
……カホさんってば、今、

「たいしたこと無いじゃん」

って思ったでしょ?
梓山 カホ
梓山 カホ
う、うん……

「憑りつかれる」って聞いて
もっとこう「恐ろしい呪い」的なのを
イメージしてたからさ……

……まさか
「見えるだけ」なんて
ちょっと予想外過ぎちゃって
メイリ/霊体
メイリ/霊体
あのねー、
「見えるだけ」を
バカにしちゃいけないよ?


カホさんの場合は
憑りついたのがあたしだから
こーしてなごやかに
おしゃべりできてるわけだけど、

もし憑りついた幽霊が
「呪いの言葉で脅かしてくる幽霊」
だったり
「常に耳元で叫び続ける幽霊」
だったりみたいな
とにかくめちゃくちゃ怖~い幽霊
だったとしたら?
梓山 カホ
梓山 カホ
う……

それ、憑りつかれた側は
たまったもんじゃないと思う……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
だよねぇ


現にカホさんのクラスメイトも
撮影した時に幽霊に憑りつかれて、

そのまま
事故に遭っちゃったんでしょ?
梓山 カホ
梓山 カホ
!!


はっとするカホ。
鈴野サナの昨日の様子を思い出したのだ。

梓山 カホ
梓山 カホ
(……言われてみたら確かに昨日、
 撮影後の鈴野さんは

 何か・・から逃げようとしていたな……


 ……急に見えるようになった幽霊に
 驚いて逃げ出しちゃったところ、
 うっかり道路に飛びだして
 そのまま車に轢かれてしまった……


 ……それなら全部
 つじつまが合うような気がする)
メイリ/霊体
メイリ/霊体
……納得できた?
梓山 カホ
梓山 カホ
うん……


……ちなみに、
メイリちゃんが憑りつかれた時は
どうだったのかな?

やっぱり大変だった?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
それがあたしの場合はさ、
憑りつかれた瞬間に
急に見えるようになった幽霊に
びっくりして転んで、
その拍子に頭ぶつけて気絶して、

気がついたら
幽体離脱してたんだなぁ、これが

「マンガかよ!」
って感じだよねっ、あはははは~
梓山 カホ
梓山 カホ
ちょ、ちょっとそれ
笑い事じゃないのでは?

だって本体が
入院するぐらいなんだよ?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
入院してるから安全なんじゃん♪

病院にいる限り
お医者さんとかが
ちゃんと見守ってくれるし、

今なら茶太郎ちゃたろうも守ってくれてるし!
梓山 カホ
梓山 カホ
?!


……ま、待って?!
急に新キャラが出てきたんだけど!

その「茶太郎」って人、誰?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
茶太郎は人間じゃないよ
梓山 カホ
梓山 カホ
人間じゃなかったら
いったい何者?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
犬の幽霊!

今はあたしの本体に
憑りついてる子だよ♪
梓山 カホ
梓山 カホ
そっか、
メイリちゃんも
“心霊ちゃん” で撮影して
幽霊に憑りつかれたんだもんね
メイリ/霊体
メイリ/霊体
うんっ

茶太郎は柴犬で、
茶色いから「茶太郎」って
名前つけたんだ、
すっごく素直で良い子だよ♪

ただちょっぴり
元気過ぎちゃってさ……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
初対面は “心霊ちゃん” で
撮影した時だったんだけど、

あたしが茶太郎のこと
見えるようになった瞬間、
ものすごい勢いで
飛びついてきたんだよねっ
梓山 カホ
梓山 カホ
あっ、
もしかしてメイリちゃんが
憑りつかれた時に転んだのって――
メイリ/霊体
メイリ/霊体
そー!!

いきなり茶太郎が
顔めがけてまっすぐ
飛びついてくるもんだから、

あたしってば
びっくりしてひっくり返って
頭ぶつけちゃって、
そのまま幽体離脱……って流れ!
梓山 カホ
梓山 カホ
じゃあ
幽体離脱しちゃったのは
茶太郎のせいということに……

……その子、本当に良い子なの?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
いい子だよー

だって茶太郎ってば
そのあとすごく反省したらしくて、
「お詫びに……」みたいな感じで
あたしの本体を
守り続けてくれてるんだもんっ

番犬ってやつだね!
梓山 カホ
梓山 カホ
確かに……
それなら良い子っぽいかも
メイリ/霊体
メイリ/霊体
でしょ♪


それにね、あたし
幽体離脱出来てよかったって
思ってるから、
むしろ茶太郎には感謝してるんだっ
梓山 カホ
梓山 カホ
え? どういうこと?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
だってこの霊体の体って
すっごく便利なんだよ!

元々あたしは
ハルオミ兄ちゃんのために
“心霊ちゃん” のことを
調べてたわけだけど、

普通に1人で生身なまみの状態で
調べられることって
どーしても限界あるじゃない?


でも霊体だと、
するっと壁をすり抜けられたり……
梓山 カホ
梓山 カホ
?!
メイリ/霊体
メイリ/霊体
こんな風に
すい~っと空を飛んじゃったり……
梓山 カホ
梓山 カホ
!!!
メイリ/霊体
メイリ/霊体
……とかできるから、

どこでも自由に行き来して
なんでも調べ放題なんだよねっ


説明をしながら
実際に近くのブロック塀をすり抜けたり、
カホの周りをくるくるっと
軽やかに飛んでみせたりなど実演していくメイリ。

そんな彼女を、カホは
ただただぽかんと目で追っていく。

メイリ/霊体
メイリ/霊体
あとはね、
霊体状態なら
普通の人には見えないから

堂々と、
いろんな会話を盗み聞き
   &
いろんな現場を盗み見し放題なのっ!
メイリ/霊体
メイリ/霊体
ほら、
さっきまでは
カホさんにはあたしのこと
見えてなかったわけじゃない?
梓山 カホ
梓山 カホ
うん
メイリ/霊体
メイリ/霊体
でもあたしのほうからは
全部まる見えだったんだよねー
梓山 カホ
梓山 カホ
え?!

い、いつから?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
最初から!

カホさんがここに来て、
ぶつぶつひとりごと言ってるとこから
ぜ~んぶ見てたよ
梓山 カホ
梓山 カホ
うぅ……


そういえば
確かにメイリちゃん、
会話の内容知ってたもんね……
梓山 カホ
梓山 カホ
……なんか
恥ずかしいんだけど……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
だいじょぶだいじょぶ、
恥ずかしがるよーな変なことは
言ってなかったと思うから!
梓山 カホ
梓山 カホ
よかった……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
…………ただ
梓山 カホ
梓山 カホ
ただ?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
……ちょっと
気になることがあってさー♪
梓山 カホ
梓山 カホ
気になること?

え、なに?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
うふふ♪

えっとねぇ――




 ――ブルルル、ブルルル、ブルルル……




何か喋ろうとしたメイリをさえぎるように、
カホの携帯のバイブが鳴り響く。

梓山 カホ
梓山 カホ
……あ、お兄さんから電話だ
メイリ/霊体
メイリ/霊体
ハルオミ兄ちゃんから?


スマホに表示されているのは
「式峯ハルオミ」という名前と
さっき交換したばかりの電話番号。

カホは急いで電話に出る。

梓山 カホ
梓山 カホ
……もしもし、梓山です――
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
梓山さん?!
無事なのかッ?!?!


やけに焦っている電話越しのハルオミ。

しかしカホには
そんなに焦られるような心当たりなど何もない。

梓山 カホ
梓山 カホ
無事ですけど、
どうかしました――
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
どうもこうもない!

マップを見たら
まだ19時ではないにも関わらず
梓山さんがいる場所を示す
赤いレア幽霊アイコンが
消えてしまっていたんだよ!
梓山 カホ
梓山 カホ
それはたぶん、
“心霊ちゃん” で撮影したからです
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
なに?!

もしやまた
被害者が出てしまったんじゃ――
梓山 カホ
梓山 カホ
出てないから、
安心してください
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
それなら良かっ……



…………ん?


ハルオミは、何か違和感を抱いたらしい。

式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
……それはおかしくないだろうか?

撮影したのだろう?
ならば撮影者がいるはずなのでは?
梓山 カホ
梓山 カホ
あ、それ私です
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
なんだって?!

ということは君が
被害に遭ってしまったんじゃ――
梓山 カホ
梓山 カホ
いえ、それはないです

だって私が憑りつかれたのは
他でもない、メイリちゃんですから!
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
……は?!




このあとも噛み合わない会話・・・・・・・・が延々続く。

電話ではらちがあかないとの結論で
まとまった2人は、
直接会って話すことにしたのだった。





    *****





電話終了後、
カホとメイリが路地裏で待っていると、
割とすぐにパステルイエローの車が戻ってきた。

車が道の脇に止まるやいなや運転席のドアが開き、
ハルオミが降りてくる。

式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
梓山さん!
本当に何ともないのか?!
梓山 カホ
梓山 カホ
はい、大丈夫です!
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
そうか……


電話では半信半疑だったハルオミだが、
現場の状況を直接確かめたことで、
カホの「無事だ」という言葉を信じたようだった。


式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
……それから、もう1点
確認しておきたいことがある

君が電話で話していた
「メイリに憑りつかれた」
とはどういう意味なんだい?

うちのメイリは現在も
入院中であるはずなのだが……
梓山 カホ
梓山 カホ
あ、それ、本体らしいです
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
本体、だと……?
梓山 カホ
梓山 カホ
なんでも
転んで頭ぶつけた拍子に
幽体離脱したってことでした

今は
本体の肉体・・を病院に残したまま

分身の霊体・・状態で
行動しているみたいですよ
式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
…………


段々と眉間みけんにシワが寄り、
ハルオミの顔の険しさが増していく。



式峯ハルオミ
式峯ハルオミ
……百歩譲って
幽体離脱が現実に起きていたと
仮定するとしよう

では肉体から抜け出した
霊体のメイリとやらは、
今現在、どこにいるというんだ?
メイリ/霊体
メイリ/霊体
はいはーい、ここだよー♪


ぷかぷか宙に浮いたメイリがすかさず
元気よく手を挙げるが、
彼女の目の前にいるはずのハルオミからは
全く何も反応が返ってこない。

メイリ/霊体
メイリ/霊体
あっ忘れてた!

霊体になったあたしの姿が
見えるのは
カホさんだけで、

ハルオミ兄ちゃんには
見えてないんだよね……
メイリ/霊体
メイリ/霊体
……てなわけで
カホさん、伝達よろっ!
梓山 カホ
梓山 カホ
え? うん……


カホは言われるがまま、
メイリの言葉をハルオミに伝えていった。





    *****





ハルオミに状況を説明するのは
なかなかに骨が折れた。


何といっても彼は
霊体状態のメイリを認識できず、
姿も見えなければ、声も聞こえないのだ。

まずは彼女の存在を信じさせることから
始めなければならず、カホは苦労した。



最終的にはしびれをきらしたメイリが

お得意の金縛り・・・をハルオミにかけ始めてしまい……


……身をもって超常現象・・・・を体験したことで
ようやく彼も、
メイリが霊体で存在しているということを
認めざるを得なくなったのだった。