向日葵side
今日は聖なる夜の日
生憎俺はキリスト宗派ではない
俺の神は彼女のみ
だが、この2日間の自由は許されるはず
決死の覚悟で俺はあなたの下の名前様を誘ッた
もちろん、断られる前提でも良かッた
けれど返ッてきたのは、承諾の旨
むしろ快諾に近かッた
隣を歩く、見たことのない綺麗な服を着たあなたの下の名前様
そう俺はきッと夢を見ているのだ
そう溢して仕舞えば、「君はこれが夢でいいのかい?」と返される
やべェ、もう堕ちてもいい
練りに練った理想の逢引計画が役に立とうとしている
理想と聞けばどこかの真面目手帳が過るがそれどころではない
俺は今ド緊張の最中である
ほぼ毎日のように訪れる赤煉瓦の街並みが輝いて見える
いや、イルミネーションは施されているが、まだ昼だ
彼女の1日を俺は手に入れたんだ
赤煉瓦倉庫の写真場所
金色の鐘の下で写真が撮れるようになッている
そこの存在は知ッていたが、自分が写真を撮るなんて想像もしていなかッた
最高級のカメラを一般人に預ければ、吹き出す声が聞こえる
嗚呼、笑顔が見るなんて
・・・
あの時以来、あなたの下の名前様に近づくことができた日はなかッた
今その彼女は、俺に体を寄せて同じレンズに覗かれている
ナイトクルーズでのディナー
未だ爆音で鳴る心臓を落ち着けながら、カトラリーでフルコースを楽しんでいるあなたの下の名前様を見つめ直す
綺麗だ
嗚呼、分かッているんだ
その罰の刻まれた瞳に貫かれ、彼女は俺の傷を撫でる
その手をそッととッて、俺もまた見つめ直す
そして、流れた音声に彼女は目を見開いた
「月が綺麗だね」
録音機から流れる音声情報は確実に目の前の彼女の声である
言えない
これは醜い嫉妬だ
彼女は、彼女の視線は俺だけに向いていれば
そんなことができないとしても、俺はその目を逸らさせたくない
酷く優しい声がして、俯いてしまッた顔をあげる
その瞳は確実に俺を射抜いていた
はく、と声にならない
空気を飲んでしまッた
すりと頬を撫でられた部分が熱くなる
だから、この“夢“がどうか、
どうか醒めませんように














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!