第13話

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2019/12/26 04:24
瑞稀side
頭痛くて、めちゃくちゃ辛い。

だけど我慢してリハは頑張った。

あとは、レッスン……。

あと2、3時間……いや、たった2、3時間…。

このくらい我慢できる。

でも今日は運悪く美少年と合同。

今のとこ俺が熱あるって知ってるの、

作ちゃんと優斗だけ。

作ちゃんは俺が話したんだけど、

優斗は俺の様子見たのと作ちゃんの嘘を見破った。

直接は言ってないけど、

きっともう気づいてる。

今さら優斗に嘘つこうなんてことしても

さすがにもう無理だと思う。

だから今は優斗と作ちゃん頼るしかないんだ。

ほんとは頼りたくない。

絶対迷惑だもん。

リハとレッスンあるのに病人の看病とか。

迷惑にもほどがありすぎる。

迷惑かけないように、

いくら体調悪くても我慢しないといけないんだ……。
先生「始めまーす!」


HiHi美少年-瑞稀「はい!!」


井上「ゴホッゴホッ……」


作間「瑞稀くん、無理しないでね」


井上「うん……」
リハで悪化したかも……。

ううん、大丈夫。悪化してない。

悪化したって思い込んでたら

本当に悪化しそうだからやだ。

大丈夫大丈夫。

全然痛くないし辛くないよ。

あと2、3時間は我慢できる!

よし、やるぞ!
先生「今日は___の最終確認します。
   部分ごとにやっていくので
   すべてやり終わったら通します」


HiHi美少年「はい!」


先生「では、部分ごとにやっていきましょう。
   まずは前奏から」
今日に限って振り付けハード。

いや、大丈夫だってば!

俺なら行けるっしょ、こんくらいのダンス!

いつも出来てんだから行ける!

最終確認だけだから、

それだけやって今日は終わり。

無理してでも頑張れ!俺!
先生「井上くん、やってみて」


井上「はい」
俺は先生のお手本通りにする。
先生「んー、そうだな。この手の動き、
   もうちょっとこうしたらいいかな」


井上「はい」


先生「よし、じゃあもう1回お願いします」


井上「はい」
先生に言われたことを意識して、

もう1回お手本通りにする。

どうかな?
先生「オッケーオッケー!完璧!
   じゃあ次猪狩くん!」


猪狩「はい!」
はぁ。終わった………。

終わったけど、やばい、息切れすごい……。
井上「はぁ…はぁ……」
これしか踊ってないのにこんなに息切れしてる。

このあとまだ1時間30分あるのに…。

たえきれる?

いや、絶対無理に決まってる。

こんなこと思ってたら本当になるって思ったけど、

こんなこと思わなくても、

俺は倒れるって予想できる。

どうしよう。

でも俺みんなに迷惑かけたくないし……。

倒れたくないし。
ズキンッ
井上「い………ッ!!!」
俺は頭の痛みに耐えきれず、

その場にしゃがみこんでしまう。
作間「瑞稀くん……!」


井上「作ちゃッ………。頭………」


作間「頭痛い?どうする?やめる?」


井上「やめ、ない………」


髙橋「作ちゃん、ちょっと休ませてよ」


井上「嫌……」


髙橋「でも…」


井上「俺、出来る、からぁ……」


作間「…………」


髙橋「………わかった。でも辛くなったら、
   絶対俺らに言ってね?」


井上「うん……」
辛くなったらとか、

絶対言えるわけがない………。

みんなの練習中断してまで

俺の看病させたくないし。

だから元気なふりしておかないと。









先生「じゃあ部分練習終わります!
   10分後、すべて通します!」


HiHi美少年「はい!」
はぁ、休憩時間………ッ。

ただ座っておく?

それじゃいつもの俺じゃない。

普段の俺って何してる?

そうだ、振り付けの確認してるんだ。

いつも通りの俺でいよう……。

俺は黙々と振り付けの確認をする。
井上「ゴホッゴホッ…」
たまに咳は出るけど、

ずっと動いてるから何も感じない。

痛くもないし辛くもない。

あ、これ熱引いたかな?

そう思って俺は踊るのをやめて、

水分補給をしようとした。
バタンッ
 








 









優斗side
那須「あれすごかったね!」


髙橋「だろ!?ほら、
   俺の言う通りだったじゃ~ん」


那須「ごめんごめんw」
レッスンの休憩時間。

みずっくんのことが気になりつつも、

俺は那須と話していた。

でもその数分後、
バタンッ
何か倒れる大きな音がした。

ビックリして振り替えると、

みずっくんが倒れていた。
髙橋「みずっくん!!!」


作間「瑞稀くん!!!」


橋本「瑞稀!?」


猪狩「瑞稀くん!」
みんながみずっくんの周りに集まる。

そりゃ急に倒れたらビックリするわ。

何も知らされてないのに。
作間「熱ッ…。さっきよりも上がってる…」


髙橋「とりあえず寝かせておこう。
   誰か濡れタオルとクッションと毛布!」


藤井「俺ら取ってくる!
   俺と金指濡れタオル、
   那須と浮所はクッション、
   大昇と龍我は毛布!」


美少年-藤井「了解!」
とりあえずみずっくんを端に避けないと。

そう思って俺はみずっくんを抱える。

うわっ、ほんとに熱い。

しかも汗だく………。

ほんとに辛かったんだろうな。

みずっくんをゆっくり下ろして

楽な体制にさせる。
金指「優斗くん!持ってきましたよ!」


那須「優斗くん!こっちも!」


岩崎「はい!」


髙橋「ありがと!」
美少年から濡れタオル、

クッション、毛布をもらう。

濡れタオルはおでこに、

クッションは足のところ。

毛布はみずっくんの上に被せる。

よし、オッケー。

これでたぶん大丈夫だろう。

あとはみずっくんが起きるのを待つだけ。
橋本「瑞稀、いつから具合悪いの」


髙橋「え、いつ、から……?」


作間「たぶん朝から」


猪狩「はぁ!?そんな前からかよ!」


藤井「がりさん、落ち着こ……」


橋本「逆に落ち着いてるお前らはなんなの?」


猪狩「瑞稀くん、倒れるまで練習してんだよ?」


橋本「知ってたお前らは何で止めなかったんだよ」


髙橋「………ッ」


作間「瑞稀くんがやるって言ったんだよ!」


橋本「は?」


作間「瑞稀くんが心配で、俺、1番に来たの。
   その数分後、瑞稀くんが入ってきた。
   顔赤くて少し咳き込んでて、
   心配してたら倒れちゃってさ……。
   大丈夫?って聞いても
   大丈夫って言うし、
   熱ある?って聞いてもないって言うから。
   それに、リハだし
   みんなに迷惑かけたくないからって。
   結局瑞稀くんに負けちゃって
   許しちゃった…。
   辛くなったら言ってって言ったのに…。
   結局はこんなになって倒れちゃった…」


髙橋「俺も来たときから薄々気づいてた。
   けど、作ちゃんが寝不足だって言うから、
   そうなんだって信じちゃってた。
   でもやっぱり
   明らかに作ちゃんの様子おかしいし、
   あの嘘も無理矢理過ぎ。
   それでみずっくんが
   体調悪いってわかった…」


猪狩「んなの無理矢理休ませればいいだろ!」


橋本「無理される方が迷惑だっつーの…!」
はしもっさんとがりさんのイライラが

いよいよピークになる……。

俺らじゃもう止めれない。

どうすればいいんだ……!?

そう思っていたとき、
那須「そんな怒んないでよ。瑞稀くん、起きちゃう」


浮所「ていうか、
   悪いの優斗くんと作ちゃんだけじゃ
   ないよね?」


猪狩「は?」


橋本「チッ、あ"!?」


龍我「二人とも、
   瑞稀くんが体調悪いの
   気づいてなかったんでしょ?
   なら二人のこと責めても
   自分らも同じじゃん」


岩崎「俺らが言うのもあれだけど、
   気づかなかった二人も
   悪いんじゃないかな?」


藤井「それに、喧嘩して二人が反省すれば
   瑞稀くんが治るって訳でもないし」


金指「僕らが喧嘩したところで
   なんの意味もないですよ」


HiHi-瑞稀「………」


猪狩「ごめん……」


橋本「俺もごめん…」


髙橋「え、あ、いや、大丈夫だよ…?」


作間「う、うん!謝るほどじゃない……」
はしもっさんとがりさんが

怒る気持ちも全然わかる。

でもほんとに美少年の言う通りだ。

喧嘩してみずっくんが治る訳じゃない。

俺らはみずっくんが治るのを

大人しく待つしかないんだ……。

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