第6話

1年前のあの夜。
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2021/04/04 22:00
志麻side
志麻
うらたさん〜
うらたぬき
ん?
志麻
俺今日、一応病院行ってくるわ。
うらたぬき
あ〜…昨日の?
志麻
うん。
うらたぬき
行ってらっしゃい〜。
志麻
あ、俺ちょっと坂田とセンラと久々に会おうと思うんやけど、うらたさん行く?
うらたぬき
いかない。楽しんできていいよ。
志麻
うん…1回連絡してみるわ。
LINEにて
まーしぃさんだお。
ごめんな。最近連絡取れなくて。実は、うらたさん帰ってきたんよ!もー急にいなくなるからどーしたんって聞いたら、実家帰ってたんやって!リーダー帰ってきたし、浦島坂田船復活させよか!
まーしぃさんだお。
うらたさんは行かないって言ってたけど、俺らだけでも集まる?久々に!
志麻
2人ともびっくりするかなー。
うらたぬき
あの二人なら…するんじゃない?
ピコン
志麻
おっ!キタキタ。
センさん。
何言っとるん?
センさん。
うらたんが帰ってきたん?
まーしぃさんだお。
そうだよ!
さかたんたんたんたかたん
ありえないよ。 
もし本当に帰ってきてんなら…その人にうらさんやない。
志麻
何…いってんの?
俺はグループ通話を開始した。
うらたぬき
…ちょっとトイレ。
志麻
あ、うん。
センラ
『…まーしぃ?』
志麻
センラ!!!!坂田!!!!変な事言うなよな!!!!
となりの坂田。
『変なのはまーしぃやよ。』
志麻
なんでや!?うらたさんは…うらたさんは俺とさっきまで一緒にいたんよ!!!!
センラ
『まーしぃ。覚えてないん?』
志麻
何をだよ!!!!
となりの坂田。
『1年前のこと。』
志麻
は?うらたさんがいなくなった時だろ?
志麻
帰ってきたって言ってんじゃん!
センラ
『帰ってきてから撮った写真、ある?』
志麻
うらたさんと?
センラ
『おん。』
志麻
あるよ。送るな。
ほら、こんなに綺麗な顔したうらたさんが隣に写ってるやん。
センラ
『…まーしぃ。』
となりの坂田。
『誰も…写ってないで?』
志麻
お前ら…本当にふざけんなよ?
となりの坂田。
『まーしぃ!!!!この際はっきり言うけどさ!!!!』
センラ
『待て!坂田!』
となりの坂田。
『うらさんは…うらさんは…!』
坂田の声が少し泣きそうな声に変わった。
となりの坂田。
『1年前のあの日の夜…』
センラ
『坂田!!!!黙れ!!!!』
センラが坂田の口を塞ごうとしてるのが電話越しだかわかる。
となりの坂田。
『…ッ、センラ!』
となりの坂田。
『言わなきゃ…まーしぃのためにならんねん。』
センラ
『でもっ…!!!!』
となりの坂田。
『言わせて。』
センラ
『…まーしぃ。ごめんな』
志麻
何がだよ。
センラ
『…グスッ』
となりの坂田。
『ハァ…改めて、まーしぃ。』
となりの坂田。
『うらさんは、1年前のあの夜…』
坂田の言葉が一瞬詰まったが、次の一言を聞いて、俺の視界が真っ暗になった。
となりの坂田。
『殺されたんや。』
志麻
…は?
となりの坂田。
『思い出して。あの夜、何があったのか。』
志麻
あの…夜…
〜1年前〜
うらたぬき
ん〜明日の朝まで覚えてたらいいよ。
志麻
よっしゃ!絶対覚えてるわ。
うらたぬき
ふふっおやすみ〜
志麻
おやすみ〜
それから直ぐに、俺に睡魔が襲った。
ウトウトとし始めた時、リビングから何か壊れるような音がした。
志麻
ンアッ!?なんや〜?
寝室の戸を開けてリビングを見る。
志麻
うらたさ〜ん?どうし…た…
一気に眠気が吹き飛んだ。
うらたぬき
うっ…
頭から血を流して倒れるうらたさん。そしてその上に馬乗りなってる黒ずくめの男。
男の手には、紫のバラが入っていた花瓶が握られていた。
強盗犯
チッ…見つかっちまった…
うらたさんから離れた男は、ポケットからナイフを取り出して俺に近づく。 

そしてそのナイフで俺の腕を切った。
志麻
いっ…!?
強盗犯
仕方ねーだろ?見ちまったんだから。
男が俺にナイフを振り下ろすまさにその瞬間…
うらたぬき
…ッ!
うらたさんが男に体当たりした。
志麻
うらたさん!?
うらたぬき
まーしぃ!!!!逃げて!!!!
志麻
えっ…で、でも!うらたさんは…!!!!
うらたぬき
早く!!!!逃げて!!!!
うらたさんに庇われながら、俺はリビングから玄関までの逃亡を試みる。
が…
強盗犯
この野郎〜!!!!
男のナイフが俺の背にかすった。
志麻
あっ…!
うらたぬき
まーしぃ!!!!
強盗犯
最後だな。
男の手に光るナイフを見て、俺はぎゅっと目をつぶった。
が、いつまでたっても、俺に痛みは現れなかった。
代わりに、いつも感じていた温もりが俺を包んでいた。
志麻
うらた…さ…
うらたぬき
ハァ…ハァ…
うらたぬき
ま…し…逃げて…!逃げて…!!!!
志麻
うらたさん…うらたさん!!!!
強盗犯
命拾いしたな紫の!だがな!これで最後だ!!!!
あぁ…もうダメだ。背中と腕が痛くて動けない。
俺の腕を男が掴んだ時…
ウ〜ウ〜
強盗犯
ちっ!サツが気やがった…まぁいい。お前、いつか殺してやるからな。
男が外へ出ていった。
うらたぬき
まーしぃ…
そうだ…1年前の…あの夜…
うらたさんは…うらたさんは…!
志麻
あ…あ゛ぁ…
嘘だ…嘘だ!!!!
だって、今日だって一緒にいて…話してた…綺麗な笑顔を俺に向けてくれてた…!!!!
志麻
は…カヒュ…ぜはっ…
センラ
『まーしぃ!?大丈夫か!?』
となりの坂田。
『センラ!救急自動車!』
苦しい…頭が…痛い…
意識が遠のいていく中、最後に聞いたのは…






































ドア越しのうらたさんの声だった。
うらたぬき
だから、言ったじゃん?
坂田とセンラびっくりするよって…

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