第47話

白雪姫。
2,158
2020/11/26 20:55
白雪姫。 


ずっと昔からあなたは𓂃 𓈒𓏸◌‬



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「地球は丸いから端っこなんてないんだよ」



俺が幼い頃誰かがそう言っていた気がする。
あれは誰だっただろうか。


「そらるくんが泣いてたらすぐにここにくるよ?そらるくんが心配だから、、、な」


照れくさそうに言っていたのは誰だった?
名前も顔も思い出せない。それでも、俺と同じクラスだったこと。小さいのに物知りだなと思ったこと。何故か俺はそいつに好かれていたこと。それだけは覚えている。


そらるくん


そらるくん


と楽しそうに俺の事を呼んでいた。
またあいつと会いたいな、なんて。


でも俺はつくづく馬鹿だと思う。幼稚園ぐらいのことを高校生になっても覚えているからだ。それだけ、印象的だったんだろうけど。


にやぁ


猫がひとつ鳴いた。

可愛くて撫でてしまう。


「ふふ、可愛いなお前。そうだ、お前は知らない?俺の探してる人、」

うにゃぁ?

「まぁ、知らないよな」


もう一度撫でよう、そう思って手を伸ばすと


「可愛い猫ちゃんですね。」


「えっ、、?」


その瞬間、ねこは逃げてしまった。


「あ!逃げちゃった、、、」


そいつはすごくしゅんとしていた。
制服は俺の学校と同じで、とても身長が高い。顔だって良い。いけめん。


「あの、どちら様ですか?」


「えっ、?!、、、僕はまふまふと言います。そらるさん?ですよね!?」


「あ、はい」


すごい食い気味で言われた。
なんなんだこいつ、、、


「ずっと会ってみたかったんです!学校に王子様がいるって言ってて!!そしたらたまたま帰り道、あなたと会ったんです!」

「ぼく、すごくうれしいです!」


王子様?

は?

だれが??


「え、王子様って俺の事なの?」


「そうですよ!?だいぶ有名なんですけどね、、、」


「まじか、、、」


何そのあだ名。嫌なんだけど。

俺、王子じゃないよ。

え、めっちゃいや。


「そらるさん!嫌そうな顔しないで!!」


「あ、そんな顔出てた?w」


「はい、、すごく怖かったです、」


なんだこいつ、不思議だな。
初めてあったはずなのにな、、、


「まふまふくん?だっけ、これからよろしくね。なんか、まふまふくんとなら仲良くなれる気がする。」

恥ずかしい。

恥ずかしいけど、、ほんとにそう思った。


「えっ、!あぁう////」

まふまふくんは顔をおさえていたけど、顔が真っ赤なのがすぐにわかった。


「そらるさん、僕からもよろしくお願いします!!あと、僕の事はまふまふって呼んでくださいね!」


「まふ、ま、ふ?」


「はいっ!」


「まふまふそれじゃ宜しくね」


「こちらこそ!」



こうやってまふまふとの高校生活は始まった。





「そらるさん!今日はクレープたべたいです!!」


キラキラしためで見つめてくるまふまふ。
ここ最近、まふまふとよく出かける。まぁ、まふまふが行きたいところ(食べ物)に行くだけなのだが、、、


「はいはい、いこっか。」


「毎日、ありがとうございます」


「どーいたしまして。」


何をしても子供っぽい。
可愛らしくていいと思うけど。
俺と同い年とは思えねぇな。
というか、クラスも一緒だったの知らなかった。どれだけ自分が人に興味が無いのかが分かる。



「そらるさん、手」


「手?」


そう言って手を差し出すと

ぎゅっ、と手を握られた。


「なっ、、な!なにしてんだよ?!」


「そらるさんふらふらしてどっか行きそうなので。」


真剣な顔で言われてしまったので、言い返すことが出来ない。なんだこいつ。


「ふふっ、そらるさんが大事だから言ってるんですよ。知り合って、、、すぐなんですけど、、ね。」


ちょっと照れくさそうに言う。
まふまふは不思議。


「そっか、、」


まふまふの言ったことに対して、そっかとしか返せなかった。
俺がこの空気に流されへんな事を言ってしまいそうだったから。


「そらるさん、いきましょう?」


「うん。」



この日食べたクレープはすごく美味しかった。











『学園祭です。何やるか決めてくださぁーい』

担任の先生がそう言った。

「そらるさん!」

小声でまふまふは話しかけてきた。席替えでたまたま隣になったのだ。

「裏方一緒にしたいです!」


「いいよ。役にはなりたくないしね。」


そう言うとまふまふはうれしそうな顔をした。


『白雪姫やろうぜ!!』


白雪姫か、、、よくやるやつな。
俺は裏方やりたいから関係ないから、、、

そのまふまふと俺の考えは一瞬にして打ち砕かれた。


『姫様がそらるで王子がまふまふにしようぜ!!!』


「「え?」」


おれが、、?姫?ちょっとまて。この前は王子って呼ばれてたんじゃないのか?


「いやです。僕はそらるさんと裏方やるんです!」


おいおいおい!そらるさんと は余計な一言だろ!?ちょっとまて、、、


『えー、そらるとまふまふがいいと思う人〜!!』


『『『はぁーーい!!』』』


「うっ、まじかよ、、、」


「いやすぎます、、、」


ほんと嫌なんだけど、、

その嫌さはさらに増す。


『ラストにキスシーンあるからよろしくね、!触れなくていいからさ!角度でちょっとね!!』


「は?」

キスシーン??まふまふと?
え、むりむり、、、


「!!」


まふまふを見るとすごく目を見開いている。顔はほんのり赤い気がする。


「そらるさんがんばりましょ」


「そうだな、」



この役のせいでこれから起きることを俺はまだ知らない。









劇の調節もいいかんじになってきた。

『キスシーンガチでした方がおもしろくない?』


「いやなんだけど、、」


「棺の中だから誰にも見えないですよ?だからしなくてもいいと思います。」


いつもに増してちゃんと受け答えするまふまふ。


『それもそうか、、、したかったら勝手にしといてね!』


「絶対やんねえから!」







「そらるさん!今日は用事があるので!」


「ん、分かった。気をつけてな」


「はい!さようなら!!」


「ばいばい」



今日はいつもより疲れたななんて、、、


『ねぇ、ちょっと』


「え、はい?」


話しかけられたのは同じクラスの女子。

すごく不機嫌、、、

『姫の役、私に譲ってくれない?』


「え?」


『お姫様は女の子がするものでしょう?あとムカつくの。なんであんたなんかがまふまふくんと仲良くするの!?ありえないんだけど、、、』


「いや、でもさ、、、まふまふと二人でならやろうって決めたことだから、これは譲れないよ。」


『チッ』


その瞬間、腹を思いっきり蹴られた。


「っ、、、!」


『ふ、痛いでしょ?そうだ、これからたくさん私の友達来るからさ、楽しみにしてて?』


ほんとはやり返せる。でもこんなことしたら、、、まふまふは、、、


その日は日が暮れるまで散々やられた俺だった。久しぶりにこんな苦しい気持ちになった。よく考えればまふまふは人気者なのだ。女子たちに好かれてる。
そりゃそうだ。女の子ならお姫様になりたい。



「明日は休もうかな、、」


というか、おわるまで休んでやろう。

それが一番いい。













「そらるさんは?」


最近、そらるさんを見ない。隣の席にいたそらるさんが消えてしまった。


『そらるそーいえばずっと休んでるな。』


『このままじゃやばいかもしれないな、、、代わりの人一応決めとく?』


『そうだなー』



え?そらるさんのかわり???

なにそれ、、、

そらるさんにかわるひとなんていないでしょ。



『私やりたい!』


手を挙げたのはクラスで可愛い方の女子。そらるさんよりは可愛くない。というか比べるほどでもない。


『それじゃ、きまりな』


決まったことはかえることが出来ない。


今日はそらるさんの家に行こう。






「そらるさんいらっしゃいますか?」


『そらるねぇ、誰にも会いたくないらしいの。何があったの?って聞いても答えてくれなくて。』


「そうなんですか、、」


何があったんだろう。そらるさんをそれだけ傷つける何かがあったんだろうな。


「扉の前まで行かせてもらってもいいですか?ちょっとだけ、お話したいです。」


『いいわよ。まふまふくんなら大丈夫だと思うわ。』


そう言って家に入れて貰えた。




「そらるさん、こんにちは。」


返事はないか、、、


「お姫様の役違う子がやりたいって言ってるんです。僕はそらるさんとやりたいんですけどね、、?」


「おれはもういかないから、、、」


「!?そらるさん、、、なんでそんなこと、、、」


そらるさんは多分泣いてる。声が震えているから。


「お姫様は女の子じゃないとやっぱりダメなの。俺は向いてない。」


「僕はそらるさんとじゃないとやりません。ずっと前から決めてることです。」


「俺は学園祭終わるまで学校いかないから。」
「お願いだからかえって、、、」


「ごめんなさい、またきますね、、、」











あの日から1週間。そらるさんはほんとに来ていない。劇は嫌々やっている。


『明日は本番だぞ〜!!』

『みんながんばろ!』


『まふまふくん、よろしくね?』


「え?あーうん、、」


そらるさんとじゃないと嫌だもん。

もう一度そらるさんの家に行こう、それで明日一緒に行こう。





「そらるさん、まふまふです。久しぶりですね。1週間ぶりぐらいです。」

「明日は、学園祭ですよ。やっぱり僕はそらるさんとやりたくて、、、」

「そらるさん、何があったか教えてください。そらるさん、、、」



この前なら話してくれたのに。

寝てるのかな、、、

今、そらるさんは何を言って欲しいんだろう。そう考えるとあの頃の記憶が蘇る。

そらるさんは覚えてないかもしれない。

でも、やるしかない、、か。


「そらるさん、地球は丸いんです。だから端っこなんてないんですよ?」

「そらるさん、あなたが泣いてたら苦しんでたら、すぐあなたの所へ行きます。僕はあなたが心配なんです。」





















「あなたには笑ってほしいから。」




ガチャリ

扉の開く音。

「まふ、ま、、ふ??なんで、それ、、、」

「しってるの、?」


そらるさんに思いっきり抱きついた。そらるさんは泣いていた。

「そらるさん、、いや。そらるくん!の方があれですかね?w」


「、、さ、、て、、、」


「そらるさん?どーしたの??」


「、さがしてた、、っ!!!」

「ずっとずっと会いたかった、、、」


ぼくをぎゅっと掴むそらるさん。覚えててくれたのか。嬉しい。


「ごめんなさい、出会って直ぐにいえばよかったですね、」


そらるさんは、いつも白い肌はさらに白くなって、細くなってて痛々しい。

「も、、こんな体になっちゃって、、」


「っ、、ごめん、、、」


「!!ごめんなさい。怒ってないよ。大丈夫だよ」


そらるさんの頭を撫でる。やっぱりまだ泣いている。


「なにがあったか、おしえて?」



「学園祭終わるまでは言えない、、、」

「あの子たちが可哀想だから」


そらるさんはいつでも人想いだった、、、
本当に初めてあった時もずっとずっと後からも。それがそらるさんのいい所でもありそらるさんを傷つける原因だ。


「わかりました、明日まで待ちます。僕もあなたに伝えたいことあるので、」

「あと、明日来て。お姫様やってください。」


「え、、、やだ、、こわい、、、」


「大丈夫だよ。」


「ほんとう?」


「僕が守ってあげる。」


「、、、行けたら、行くから、」


「待ってますよ。お姫様。」


そういえばずっとだきいたままだ。急に顔が熱い。


「まふまふ、恥ずかしい」


「あ、!?や!すみません!!」


「、、ありが、と」


「!いえいえ。」


そらるさんまたね。そう言ってそらるさんの家を出た。そらるさんのお母さんは、ありがとうと言っていた。












「、、、、そらるさ、」


当日。本番1時間前。

そらるさんはまだ来てない。


『そらるくるかな?』



『どうしよう、、、』



『まふまふくん、私とじゃ嫌なの、、?そらるくんのことばっかり!お姫様は女の子がするものでしょ?いいじゃん、ね?』


「は?」


今までで1番ゲスい声がでたかもしれない。


「俺の中でお姫様はずっと昔から変わってないんだよwお前なんかに代わりが務まるもんか。」


なんか周りからすごい煽られてる。『まふまかっこいい』とか『さいこう』とか、、、


『っ、、、!!なんなのほんと!』

『そらるくんはどーせ来ないんだから私がやるからね。』


「、、そらるさんはくるよ。」










劇が始まって数分、そらるさんはまだ来てない。

『まふ、落ち着けって、』


「っ、、、」


『そらる、きてくれよ、、』


「え?」


『みんな、そらるにやって欲しいんだ。あんな女がやるなんてさ、、だってまふとそらる2人が並んでる方が、相棒ってかんじするだろ。みんなそれが見たいんだ。』


「!そーなんだ、、、ありがと、」


そらるさんに聞かせてあげたいな。
なんて、、、、え??




「みんな、ごめ、、、そらるです、、」


「っ!!!そらるさんっ〜〜!!」


そらるさんに抱きついて


「待ってました、、さぁお姫様行きますよ。」


「!うんっ、、、」


『イチャイチャすんなら外でやれよ!?ほんとよぉ、、、ま、そらる来てくれてよかったよ。ありがとうな、、、』








『なっ、!なんできたの!?』


「まふまふに呼ばれたから」


「僕はそらるさんとじゃないとやる気ないですからね。さ、もうあなたの出番はありませんよ。」










ステージにそらるさんがでてきた瞬間、場の雰囲気が一気に変わった。


そらるさん、あなたはそれだけみんなに好かれるんだよ。




「うっ、、、」


リンゴを食べて倒れるシーン。そらるさんこのしーんほんとうまい。


『まふそろそろだな!』


「うん、がんばるよ。」









「っ、、!なんて綺麗な姫なんだ」




「ほんとうに眠っているみたいですね。」



中にはそらるさんがいる。そらるさんはふにゃっと笑った。

もういいか。


「、、、」


ちゅ


「、!?//////ま、ふ?」


「お姫様起きて?」



会場はすごく静かだった。もしかして、おときこえちゃったかな?


「わたしはっ、、どこにいるの?」


王子様は答えました。


「ずっと、僕といるんです。お姫様。」










『お疲れ様!すごく良かった!!!』


『2人演技うま!実際にやってるみたい!』


みんな褒めてくれた、ありがたい、、、



「そらるさん、お疲れ様」


「うっ、、まふっ、まう!!」


「うん、こわかったね、ごめんなさい。辛い思いさせてしまって」


「、、、いえ、かえりた、い」


「そらるさん送ってくるね」


『おう!お疲れ様!!ちゃんとお姫様連れて帰れよ〜!w』


「わかってるよ!、それじゃ!!!」













「そらるさん、ごめんね。キスなんてしちゃって。びっくりした?」


「うん、、でも嫌じゃなかった」


「そっか、、、」


「言いたいこと、あるんでしょ。まふまふ」


「そうでしたね、、」


あのね、そらるさん。

ずっとずっと前からあなたは僕のお姫様です。ねぇ、僕の隣で笑ってくれませんか。付き合ってくれますか、、、?



「ばかっ、、、」


「ふふ、ばかでもいいです」


そらるさんはぎゅっと僕に抱きつく。


「そらるさんは僕のこと好き?」


「すき、だよ、、だいすき、、!!」

「よろしくね。まふまふ」


「はいっ!!」




そらるさんにはあったことを教えてもらった。やっぱりそらるさんは優しすぎたんだよな。


「そらるさんもう1人じゃないですから」


「うん、わかってる。」




まふまふがいるもんね

そう言いながらそらるさんは笑う。



もう一度そらるさんにキスをする。



「おはよう、お姫様」

「すごく一緒にいようね。」


「うん、、、」



僕だけのお姫様だよ、そらるさん。


愛しています。そう伝えるのはあと数年後。結婚するのも、、、、

これはまた別のお話。









めでたし、めでたし



エンド



あとがき

久しぶりに7000字を超えました。長くてすみません、、、あと、みなさん!ありがとうございます!!


ノンジャンルのランキング(?)的なものに入ってました。すごい!沢山投稿されてる中ではいれるなんて、、、

これからもfineをよろしくお願いします!!

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