第15話

鈴を鳴らすあなたは。
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2020/05/07 02:56
鈴を鳴らすあなたは。


「あ!」

小さい頃

「こんにちは!」

僕は誰と遊んでいたっけ?

学校の友だち?絶対ちがう
だって友達なんていなかったし。

「きょーはなにしてあそぶの〜??」

あれ、、、

だれだっけ。








あのひと。


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僕は毎年、古びた神社へ向かう。

きっと、その町の人も知らない神社へ。

見つけたのは小学生のときだった。

髪色が白のせいで友達がいなくって
一人で町を探検していたら偶然見つけた。

「今年も僕をお守りください」

「神さま」

狐が祀ってあるのだろうか。
狛犬の代わりに狐の像が置いてある。

チリンっ

「あっ!!」

お参りをする度に鈴が鳴る音がする。

けど、鈴を鳴らす音が聞こえるだけで
僕の傍には誰もいなかった。

「どこにいるんですか?ねこちゃんですか〜??」

毎年のように聞こえるし見えないからもう慣れてしまった。
今年も、掃除をして家へ帰ろう。



「ん、、、?池なんてあったかな」

帰ろうとすると神社の奥の方に池のようなものがあった。今までそんな奥に行ったことがなかったから、気づかなかったのかも。

「はなびら、、、」

「えっ!?桜?!!」

今は冬なのに桜の花びらが落ちてきた。
周りを見ると1本の桜が立派に咲いていた。

そしてその木の下には、、、

「だれ、、、?」

見知らぬ男性がいた。

巫女さんのような服を着ていて。
目がとても綺麗な青で。
そして、肌が白く。髪は、真っ黒だった。

あまりの綺麗さにびっくりしてしまった。
声、、、かけてもいいよね?

「こんにちは」

「あっ、はじめまして」

「桜、、、綺麗ですね」

おっと、危ない。あなた綺麗ですねって
初対面の方に言いかけた。危ない危ない

「これ、みえるの?」

「?はい!見えます!!」

「そっか〜綺麗って言ってくれて嬉しいな」

「ありがとうね」

「う//////」

なんだあのスマイル、、、
惚れちゃいそう。

「あっ!お名前教えてください!!」

「な、なまえ、、、?」

「そうです!僕はまふまふって言います!」

「まふまふ、、、」

「はい!まふまふですっ!!」

僕今どんな顔してるかな。
名前呼んでもらえて嬉しすぎて変な顔してないよね、、、

「あははっ!めちゃくちゃ嬉しそうな顔すんじゃんw」

「まふまふ!!」

「え!?うわぁぁぁぁ!!!!」

「あははははっ。おもしろっ」

「あ、俺はそらる!」

「そらる、、、そらるさん?」

「うん!そらる!!」

「素敵な名前ですね、、、」

「え、、ありがと//」

ちょっと照れた!かわいい!!!

「また、明日もきます!!」

「んぇ?」

「明日!絶対にきます!!おやつ持ってきます!」

そらるさんといっぱいお話したいからね!

「ほんとに、、、?」

「うん!!」

「楽しみにしてるね...」

「はいっ!待っててくださいね!!」

そういえば、そらるさんはどこに住んでいるんだろう。
良かったら僕の家来ないかな、、、。

「そらるさん!」

「ん。なに?」

「僕の家来ませんか??」

「えっ!?いいの?」

「はいっ!!」

「ほんと!やったぁ、、、あ、ごめん。」

「おれ、無理かもしれない。」

「えぇ!?まぁ、そうですよね!!出会ってすぐに家来てなんておかしいもん!ごめんなさい!!」

「ほんとごめん。俺のせいだわ.....」

「そんな気にしないで!また!!今度!!」

「うん。ありがとう」

「それじゃ!そらるさんっ!!またね!」

「またね」






なんて、素敵な人なんだろう、そらるさん。
明日、たっくさんおやつとか持っていかないと、、、!!

「そらるさん!おはようございます!!」

「あ、まふ。おはよう」

今日も1人、桜の木の下にそらるさんはいた。

「いっぱい、持ってきました!」

「ほんと!?ありがと〜!」

「そらるさん、ココアかコーヒーかどっちがいいですか?」

「え?ここあ?こーひー??」

「うん!!」

「あー、、、まふの好きな方でいいよ」

「ほんとですか!じゃ!ココアにしますね」







「あまい、、、」

「美味しいですよね〜僕苦いの嫌いだから、、、w」

「それなのに苦いやつも買ってきたの?」

「はい!そらるさん、甘いのが苦手だったらいけないので!」

「おまえ、やさしいな」

「えへへ///」


それから僕とそらるさんは、日が暮れるまで話し続けた。

「そらるさんありがとー!!」

「うん。こちらこそありがとう」

「あっ!そらるさん!!ぼくね、、、」

「うん?なに??」

「腕についてるやつ!僕も同じの持ってるんです!!」

「え、?これ、、、?」

「はい!」

そらるさんの腕には、鈴が着いたブレスレットが着いていた。
ぼくは、全く同じものをたまたま昔に貰ったので、今日はそれをつけてきた。

「おそろい!!」


「ま、ふ、、、?」

「うそでしょっ、、、」


「そらるさん?大丈夫ですか!?」

「う、ん。大丈夫ごめん、、、」

辛そうな顔をするものだから
とても心配になってしまった。

「今日こそどうですか!!」

「僕のお家!!」







「まふ、俺ここから出れないんだ。」

「え」

どういうこと、、、?
そらるさんがここから出れない?

「また、今度教えるね、、、」

「ばいばい」

そういうとそらるさんは消え、僕は自分の家にいた。


そらるさんは、何者なんだろうか。
出会った時から、何故か安心感があった。
暖かかった。昔どこかで会ったような。

会ったことがある、、、
そらるさんと?それなら覚えてる。
絶対に。記憶力には自信があるし。
それならなんで、、、











「そらるさん」

「いるの?」

そらるさんは、桜の木の下にはいなかった。
その桜も枯れていて。

僕は、神社へ向かった。



「かみさま。そらるさんに合わせてください。おねがいします、、、!!」

「むりか、、、」

諦めて帰ろうとした時。また鈴の音が聞こえた。

振り返るとそこには


「そらるさん、、、」

「あはは、、、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ。」

「まぁ、こっちおいでよ。着いてきて。」

そらるさんに僕はついていった。









「そらるさん教えてくれますか」

「昨日、言ってたこととか、、、」

「うん。いいよ。教えたげる。」



「おれは、人間じゃない。さっきの神社が俺の家。神さまなんだよ。俺。」

「か、神様、、、」

「うん。」


「ずっと俺が小さかった時。お前が俺を見つけてくれた。」

「それはどーいう、、、ことですか?」

「あの神社に来てくれたでしょ?」

「あの時は、びっくりしたよ。白い髪が綺麗で。俺より神様むいてんじゃね。とか思ったもん。」

「それから、毎日俺のところ来てくれたから。俺、まふと一緒に居れたらどんなに楽しいんだろうって思うとついまふのまえに現れちゃって、、。」

「え、、、」

「黒髪の子いたでしょ」


くろがみ、、、

あの不思議な子のことだろうか。
腕にはブレスレット付けてて。あれ。
そらるさんに似てる気がする。

「まふ、、、ごめんね。」

「このブレスレットのせいで昔から外に出られなくって。」

「これ、とる方法自分でもわかんないんだよ。」

「まふにずっと会いたかったのに、、、これのせいで会えなくって。」










「これでずっと一緒だよ。ってブレスレットくれましたよね、そらるさん。」

「え、、、?」

「ぼく、引越しする前日にここに来ました。そこで、そらるさんに貰いました。ことブレスレット。」

「泣きじゃくる僕を見てそらるさんは、笑いかけてくれた。」

「今まで忘れててごめんなさいっ、、、」

「いや、、悪いのは俺だし。」

「ほんとなら、ずっとまふについて行くつもりだったのにっ、、、約束破ってごめんね」


やくそく、、、?

『そらるさんやだよっ!!僕引越しいや、、、、!!』

『そんな、泣かないでよ。な?まふ』

『でもっ!!そらるさんに会えなくなっちゃうよ、、、』

『大丈夫、俺がまふについていくから』

『安心して。』

『ほんと、?』

『うん。』

『わかった!そらるさんありがとう!!』

『うん、、、』


「そらるさん。僕、そのブレスレット絶対にとってみせます。」

「僕もそらるさんと一緒にいたいですもん」

「でも、、、」

「大丈夫です!!そらるさんのために頑張りますっ!!」

「ありがとう、、、」



それから1ヶ月以上試行錯誤を繰り返した。
ても、ブレスレットは1度も取れてくれなかった。


「そらるさーん!今日もきまし、、、」

「え、、、どういうこと、、、?」

そこには昨日まであった祠がなかった。
そしてら、奥の池も桜の木も消えていた。

「そらるさん!!」

「そらるさんいるの!?返事して!!」

どういうことだ?神社が壊された??
え。なんで、、、。

みんな知らないはずなのに、、、
たまたま見つけて壊したってこと?


僕は、急いでこの当たりのことを調べた。

「ふざけるな、、、」

古い建物の取り壊し。
空き家が増えたから潰している。

そらるさんは、消えたの?
でも、あの辺からは出れないって言ってた。
それじゃ、今は家もないの?
桜の木だってあの綺麗な池だってっ、、、、

ぼくは、もう一度そらるさんがいたあの場所へ向かった。













「はぁっ、、、そらるっさ!!」

「いるんでしょ!?返事して、、、」

響くのは僕の声と



「鈴?」

鈴の音だけだった。

「そらるさん、、、?」

急いで探した。すずの音がする方へどんどん向かった。

行った先には何も無くただ広々とした空間が広がっていた。

「なんで、、なんでなのっ!!」

「ううっ、、そらるさん、、、」





「なんで、泣いてるの?」

「まふまふ」

「俺は消えてないよ?」

「そらるさん?」

「そらるさんっ!!なんですぐ出てきてくれなかったの!?心配したじゃないですか!」

「ごめんね。」

「もう、まふに会わないって決めてたのに」

「これ以上一緒にいたら迷惑かけると思ってたのになぁっ、、、」

「え、!?そらるさん!!」

「どうしたの!?」

なんで、泣いてるの、、、?

「まふが俺を探してるのをみててずっと思ってた。俺も人間だったら良かったのにって...そうしたら、まふはずっと笑ってくれてたんじゃないかって、、、」

「俺は、まふと一緒に居たいだけだったのにっ....」

「僕が人間じゃなくなればいいんですよ。」

そらるさんが人間に慣れないなら
僕がそっち側の人間になればいいんだ。

そうすれば






「そうすればずっと一緒に居られますよ?」

「まふ、、何言ってるかわかってんの?死ぬって言ってるのと同じだよ。お前が死んだら、みんな悲しむだろ?」


そらるさんは、なんて優しいことを言ってくれるんだろう。でもね。


「うーん。みんなが悲しんでくれたとしても僕はそらるさんと一緒に居ることを希望しますね。」

「だって、そらるさんと一緒に居る時が僕にとって1番楽しいときだから。」

「そんな理由じゃダメですか?」




「なんでなの、、、」

「え?」

「なんで、俺のためにここまでしてくれるの...」

「はぁ、、、まだ分からないんですか?」

「どーいうことだよ、、、」

「こーいうことですね」















「んッーー」

「ちょ/////まふ!?」

「ぼく、そらるさんの事大好きです。」

「だから、一緒に居させてください。隣で笑わせてください。」

「うっ、、ま、ふ、、、」

「おれからもおねがいしますっ、、、
ずっととなりでわらってくれますかっ、、、?」

「はい。よろこんで!!そらるさん!!!」






「まふ。」

「はい!」

「ほんとに死んじゃうんだよ。いいの?」

「いいんですよ、それで。」

「それじゃ、もうやってもいいの?」

「はい!どーぞ」

「、、、、ありがとう。まふ。」

「こちらこそ、僕の前に現れてくれてありがとうございます。」

「おやすみ、、、」

「はい。おやすみなさい」

僕の記憶はそこで途切れた。





次目覚めた時には、隣にそらるさんはいなかった。

あの、大きな桜の木の下に僕は横たわっていて。それで、服だってそらるさんとお揃いのを着ていた。ブレスレットだってまだ着いてる。

「おはよう。まふまふ」

「あ!」

桜の木の上に彼は座っていた。
優しい笑顔をこちらに向けてくれた。

上から降りてきた彼は、本当に綺麗だった。
黒髪が風に揺られ、その青い目に全て吸い込まれそうだった。

「そらるさん!!」

「似合ってるね、、、その服。」

「ありがとうございます!!!!」

「そらるさんとお揃いで嬉しいすぎるんですよね!!」

「そっかぁ」

「これからは、一緒ですね。」

「うん、、、」



「笑ってくださいよ。そらるさん!!」

「僕は幸せです」

「そらるさんと一緒にいれて」

「うん、、、おれもっ」

「桜の木、枯れてたのに、、、」

「あー戻ったでしょ?池も祠も。」

「魔法ですか!?」

「いや、、、うんw魔法です」

「そらるさんすげー!!」

「んふふw」




「あ!そらるさん!!僕いいこと思いつきました!!」

「ん?なに」

「この祠の噂つくりましょう!」

「うわさ?」

「うん!誰も僕達に近ずかないように!!」

「それいいね、、、w」

「ぼく、考えてあるんです!それでいいですか??」

「まふに任せる」

「ありがとうございます」












『ねぇ!知ってる!?この街の噂!!』

『えーしらなーい』

『それが、結構やばいらしいの!』

『『聞きたいんだけど!?』』

『ほんと?じゃ言うね!!』


ねぇ、ねぇ知ってる?桜の守り人さんのその噂。

一年中咲いている桜の木がこの街に1本あるんだって。その桜の木を守っている2人の神さまがいるの。

1人は、黒髪で青い目をしていて
1人は、白髪で赤い目をしている。

その桜の木を見つけてはいけないよ?
なぜなら、そこは神さま達しか入ることを許されていない場所にあるから。
入れば、呪われてしまうから、、、

2人は今日も、鈴を揺らしながらこの街を眺めているそうだ。


『いや、あんま怖くないよ?』

『いやいや!それがね!桜の木を見た事ある人が行方不明になってるらしいの、、、』

『まじかぁ、、、』

『まぁ、近寄らなきゃいいんでしょ?どこにあるかも分からないけどw』

『きっと見つけちゃダメなんだよ!!』

『呪われるとか言われたら怖くなってきた!!』

『わたしも〜!!』

『今日は帰ろ!』

『うんwそーしよっか。』











「いい感じなんじゃないですか」

「うんwよくあんなの思いついたね?」

「あははwたまたまですよwww」

「さすが、おれのまふw」

「でしょー!ん、?俺のまふ?」

「今、おれのまふって言いましたよね!?」

「え?そんなこと言ったかな、、、?w」

「絶対に言ったもん!!絶対!!!」

「「www」」


「あいしてる」(ボソッ)

「そらるさん、なんていったの??」

「え?ひみつ」

「酷くないですか!!」

「酷くないですw」

「あっ、そうだまふ。こっちおいで」

「はい!」

そらるさんにエスコートされるがまま
どこに向かっているのだろうか。

そらるさんはずっとずっとこっちを向いてくれないから表情もわかんない。

「まふ」

「なんですか?」

「俺を見つけてくれてありがとう」

「っ、、、そらるさん」

なんで、あなたはそんなにも笑いながら
泣いてるんですか、、、

笑顔が台無しになっちゃいますよ、、、

「まふっ、、、まぅ、ま、、ふ」

「うわっ!そらるさん!!」

急に抱きついてきたからびっくりしてしまった。そらるさんは、泣きながら僕にこう言った。

「おねがいっ、、、消えないでね」

「当たり前じゃないですか。あなたの前から消えたりはしません。絶対にしません!
約束しますっ!!!」

「やくそく、、、」

「はい!」











愛して。愛しあって。

小さな幸せでもいい。隣で笑ってくれるなら

ぼくは、それだけが願いなんだ。
そらるさん、あなたは僕の前に初めて現れた時、こういいました。

「一緒にあそぼうよ。泣いてないで笑ってよ。」

と。僕はあの日からそらるさんに恋してたんだ。気づくの遅すぎかよ、僕。

「愛してます」

「おれも、、、あいしてる」






人間が神さまになれる条件。

・成人を迎えていること。

・神さまがみえるひと。

・神さまに愛されていること
 自分もその神さまを愛していること。











end

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