第43話

銀河鉄道にのって
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2020/10/24 21:43
銀河鉄道にのって


これじゃだれも救われない𓂃 𓈒𓏸◌‬







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「おやすみなさい。」



ぼくはあなたに会う方法を知っている。




目を開けると目の前にはとても美しい銀河が現れた。黒い絨毯に星を散りばめたようなそんな美しい銀河。

〈あぁ、、今日もこれた〉

後ろへ振り返るとそこには駅があった。列車が止まっているので僕はそれに乗る。
だってあなたがいるから。


「こんにちは。まふまふ。」


「はい、こんにちは。そらるさん。」


そらるさん

この美しい世界で出会った人。ぼくは彼に一目惚れしてしまった。彼もまたこの世界と同様に美しい。


「ふふっ、まふまふはいつも楽しそうだね」


「そらるさんと一緒にいるからですよ」


「そっかぁ、、、ありがとね」


いつかあなたに告白する。

そんなことを考えて毎日生活している。そらるさんは、絶対に気づいてくれないから。


「そらるさんは、ここに来てもう何年なんですか?」


「え?、、、1年?ぐらいしかいなくてさ」


「僕なんてまだ半年ですよwそらるさんと出会うのはもっと後でしたけど。」


「まふまふはここにいたい?」


「?いたいです。ずっとずっと」
「そらるさんと一緒にいたい」


そらるさんは、少し悲しそうな顔をしてからへにゃ、と笑った。

「俺もまふまふとなら一緒にいたい」


「それなら、ずっとふたりでいましょうね」
「いつか、ここにずっと居られるように頑張りますから!!」


「そうだね、、、」
「たのしみにしてるよ」


あ、


「時間、、ですね」


「そうだね」


「そらるさん、またね」


「うん。ばいばい。」






おきなさいっ!!!まふっ!
おきなさいってば!!


目が覚めると元の世界に戻ってくる。

今日も楽しかった。


「ごめんね、母さん。」

「明日からはちゃんと起きるよ。」


そんなこと言ってまい朝起こされてるじゃない。と母はきれていた。ごめんね、


「朝ごはんだよね?すぐ行くよ。」

そう言って僕はリビングへ向かった。






そういえば、隣町のあの子まだ眠ってるらしいの。


そうなのか、、ご両親も大変だな、、、


「えっ、、そんな人いるの?」


いるわよ。まふの知り合いだったのよ?
今日会いに行ってきたら?


「いいの?」


いいわよ。



何故だろう。胸騒ぎがした。







「失礼します、まふまふです。」


あぁー!まふちゃん!元気してた?


「はい、とてもw」


お見舞いに来てくれたの?


「はい」

それから入ってすぐの部屋にいるからゆっくりして言ってちょうだい。



ギギィ

扉を開けるとそこには。


「えっ、、、」


そらるさんがいた。


「そ、そらるさん??」
「あれ、なんでっ!」


ぼくは知ってる。あの世界の行き方。だから、そらるさんも僕と同じように眠りにつくことで毎晩現れると思っていた。


「ねえっ、そあうさ?」
「ねぇったら、、、」


手を握ると冷たい。肌は真っ白で痩せていて。見てて痛い。


「なんでっ、、なの、、」


「僕はここにいるよ、そらるさん。」


「ねぇ」


「そ、らうさ、、、、」


ばたん。そのまま倒れてしまった











「はっ、!!」


「お、まふまふどしたの?今日はなんか焦ってるね」


「そ、そらるさん!?」


「え、そらるだけど、、、なに、なんかあった?」


「そらるさんっ!よかったぁ、よかったですっ、、、」


そう言ってそらるさんに抱きついた。

と思っていた。




「あっ、、」


「そらるさん!?なんで!!!」

なんで透けてるの!!!



「、、、時間が来ちゃった」

「まふまふごめん。」



「えっ、そらるさん。どこに行くの?」



「さぁな。俺も知らない」


行かないで


そらるさん


やめて


僕をひとりにしないで

「いつか会えるよ、」


「いつかじゃダメなんです!ぼくはずっと一緒にいたい、、、」


「そっか、、」


「そらるさんお願いだからっ、、」


「ねぇ、銀河鉄道の夜って知ってる?」


知ってますよ。ジョバンニとカムパネルラが旅するお話でしょ。


「まふまふはジョバンニ。俺はカムパネルラなんだよ。」
「だからまふまふはここにいちゃいけない」


「な、にいって、、、」


本当は分かってるんだろ。銀河鉄道の夜のラスト。

そらるさんにそう言われ、その場に倒れ込んだ。もう立てない。足が震えるんだ。そんな僕を見てそらるさんは、何も言わなかった。


「、、、まふまふ立って。帰ろう。元の世界へ。」

そらるさんは僕の手を引いてくれた。その手は冷たい。あちらの世界のそらるさんとやはり繋がってるんだろうか。でも、そらるさんじゃ無いかもしれない。そらるさんに似た誰かかもしれないじゃないか。


「まふまふ、いくよ。」


「っ、、、、そらるさん。」


「ん?」


「すきです」


ちゅ


とリップ音が広がった。
誰もいないこの車両で。


「まふっ、、、」


「ぼくはいやだ。あなたと離れるなんて出来ません。それならこの世界に僕も残ります。死にます。そらるさんのためなら死ねますよっ、、、だからお願いします、消えないで」

僕はあなたがいないとだめなんです










「っ、、、おれだって一緒にいたいよ」
「でも無理なんだ。」


ごめんね



とんっ



そらるさんはぼくを列車の外へ突き飛ばした。



「そらるさんっ!!なんで!!!」



「ごめっ、、ごめんね、、、」


その時、そらるさんは泣いていた。
彼の涙なんて見たこと無かった。

「まふ、おれもすきだよ」



そう言うとそらるさんの体はどんどん灰のように消えていった。

声は出さなかったがそらるさんは

「また会おうな」

そう言っていた。


「そらるさんっ、、、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
















「んっ、、、」

「かえらなきゃ」


もう、そらるさんのことは見ることが出来なかった。










数日後---


あの家の子めが冷めたらしいわよ


母からそう告げられた時は何も持たずに家を飛び出した。
そらるさんが、おきた?しんでないっ、、
そらるさんはまだ生きてる。








「こんにちはっ!!!」


まふちゃん!!そらるは部屋にいるからね。


「はい、、!」









「そらるさん!!!」

「よかったぁっ、、、よかったです、、、」


「??」


「え、そらるさん?ぼくですよ!まふまふ!」


ほんとうに神様はなんて不平等なんだ。



「すみません、どちら様ですか?」



あなたが僕を忘れてしまうなんて、、、

でも、、、、


「あなたのことを誰よりも愛してます。」

「だから、ぼくのことこれからは覚えてて」

「あいしてます、、そらるさん。」



できる限り笑顔で言った。そらるさんの顔は見れない。そらるさん走らないのだ。分からないのだ。かなしいなぁ。


「まって、、、」


「え?」


そらるさんに停められてしまった。しかもその手は温かい。生きてるだ。


「おれ、、君のことはほんとに何もわかんないんだけど、、、」


「それでいいんですよ、大丈夫です」


「ちがうのっ!!!」
「なんか分かんない、の、、。わかんないけど君のことを俺も大切にしてた気がしてっ、まふまふさん。ごめんなさい、こんな俺でごめんなさいっ、、大切な人を忘れるなんて、おれっ、、、、」


「そらるさん、いいんですよ。こういう運命だったんですよ。銀河鉄道の夜って知ってますか?」


「は、い、、」


「最後、カムパネルラはザネリを助けていて死んでました。あなたがね、とある所でぼくと話していた時に、〈まふがジョバンニ、俺はカムパネルラ〉って言ってたんです。ぼくはね、正直目が覚めてしまえばあなたがいなくなってしまう気がしていたんです。だからね、こーやってあなたに出逢えたこと凄く嬉しいんですよ。僕との記憶がなかったならこれからたくさん思い出作りましょう?もしかしたら、思い出すってこともあったりするかもしれない、、」

「そらるさん、泣かないで。」


「おれっ、、わすれたくないのに、、なんでなの、、、なんでっ、!!!」

「まふまふさん、俺と一緒にいてくれますか?あなたの事を思い出したい、、」


「ふふっ、もちろんです。色々お手伝いしますね。そらるさん。」


そらるさんの唇に触れた。

それはもう触れるだけ。たった少し。


きらきら

あなたは輝いて見える。


「どこの誰よりもあなたは輝いてますよ。」

「あいしてる、そらるさん」


「おれも、、すき、で、、す。まふまふさん」


「うん、知ってるよ。あなたが僕のこと大好きなことぐらい。それじゃ、また会いましょう。お家探しときます。」


「まふまふ、、ありがとう」


「!!うん。やっぱりまふまふって読んでもらったほうがうれしいな」



神様は酷いけどぼくはこの世界でもやっていくよ。そらるさんが僕のことを好いてくれるかぎり。


「負けるもんか」











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