~健人side~
話は戻るけど、菊池の後を追うように俺もあなたの屋敷に着いた
11本の赤い薔薇の花束を抱えて
俺が合格したと告げたらホッと安堵の表情を見せるあなた
マジで落ちたと思ってたのかな笑
そこで俺は腕に抱えてた薔薇の花束を差し出した
花束を受け取ったあなたは嬉しそうに微笑んでいた
似合うな…真っ赤な薔薇
腕を広げるとあなたはそっと花束を置いて俺に抱き着いた
そして、俺もあなたの背中に腕を回すと今の想いを告げ始めた
今話したのは序章に過ぎない
本題はここから
大学卒業までまだまだ随分と先の話だ
俺は気持ちが変わらない自信がある
だから後はあなたが待っててくれるかどうかの話だ
あなたの事だからまた何言ってんだよってはぐらかされるかと思ってたのに
予想外の答えだ
俺はあなたの言葉を遮るように唇を塞いだ
そんな心配必要ねえよ
コクンと頷くと俺の胸元に顔を埋めるあなた
あなたも結構独占欲強いんだな
すげえ嬉しい
俺の言葉にビックリしたかのように顔を上げる
でもその表情はすぐにふにゃっとなって嬉しそうに頷いた
ちゅっ、と唇を重ね合わせればお互いキツく抱き締めあった
取り敢えず同棲まであと二年
それを活力として頑張ろ
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。