夏の甲子園予選ベンチに入れるのは20人。
新しくあと2人がベンチに入れる。
私は沢村くんに入って欲しい。
沢村くんは頑張ってる。毎日1番遅くまで残って練習して、朝も1番早くに起きて走って。
実際沢村くんの成長は凄いし、沢村くんが、ベンチにいると明るくなる。
だからって沢村くんだけが頑張ってるわけじゃない。みんな、自分で考えてる。どうすれば生き残れるのかを。
そんなの分かってる。分かってるけど。
あー。こんな感情初めて。野球には色んなこと教えて貰ってばっかりだ。
でも、マネージャーも一丸となって戦える。選手としてじゃなくても野球に恩返し出来る。
だから今はこのチームが勝ち上がれるように全力でサポートしないとね。
教室から聞こえてきたこの会話。
最初はその事を意識してたかもしれないけど最近はそんなこと気にしてなさそう。ていうか、忘れてない?
そうだとしたらどうしよ。でも沢村くんはどっちでも変わらなさそう。いや、でも目的はあった方が...
御幸先輩先輩は何て言おうとしたんだろ。
でもやっぱり選ばれて欲しいなぁ。
ベンチメンバー発表まであと2日。
こっちまで緊張してきたぁ
この前のことがあってからしっかり考えてピッチングできてるみたい。よかった。
沢村くんと歩きながらブルペンへ向かう。
こんなことを聞くって事は本当は忘れてなかったのかな。
いつのまにブルペンに入って投げる準備をしてたの!?
さすがいつも、準備してるだけあるなぁ。
今日の沢村くんのボールはとっても走っていた。今まで以上に遅れて見える左手のせいで相当なクセ球になってる。
これだったらベンチ入りも夢じゃない!!
素直だなぁ。
沢村くんなら絶対いいピッチャーになれる。
頑張って、沢村くん
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!