2回戦から、準々決勝まで明川戦以外はコールドで勝ち進んだ。明川戦は相手の楊舜臣が、コーナーに正確に投げ分けるさすがすぎるピッチングで打線が手こずるも最後は逆転して点差は開いたけどギリギリな試合だった。
明日は薬師ってところと。
まさか市大三高が負けるなんて思ってもなかった。
学校に帰って反省会。
沢村くんは今までの戦績を自分ではどう思ってるんだろう。
おぉー、結構いいとこついてる。
沢村くんが言った通り、みんな沢村くんのくせ球を捉えきれてなかった。まさしく打たせてとる!許したヒットは0!インコースにガンガン攻めてとる!いいピッチングだったなぁ
降谷くんはもう、豪快に飛ばしてたなぁ
もう、貫禄があったって感じする
急に話しかけられてびっくりした。
でも、ちょっと降谷くんのピッチングを思い出してたからちょうどいいかもね
何かを考えている降谷くん。
正直降谷くんと話したことないから話しかけられた時は驚いたけどやっぱり降谷くんも野球好きなんだなぁ。
でも、降谷くんの次の一言はあまりにも衝撃的だった。
独り言を呟くようにそれだけ言って降谷くんは去っていった
今のは何事!?あれって誰?沢村くん??だとしたらどーゆうこと?
キャッチャーなんだしみんなのプレー見るに決まってるよね??!しかも!選手を好き嫌いでなんか判断しないし!!
もう私のおバカな頭じゃ理解できないよ!
そうやって、もうこの場にはいない降谷くんに1人で反論していた。
それは私の心の中でのことだと思ってたんだけど気づいたら声に出ていたらしい。
少し笑いを含んだ声が聞こえてくる
なぜか、機嫌がいい沢村くん。
何かあったのかなとか、思ったけどいつもテンション高いしいつも通りか
でも明日は薬師高校とだし、データが少ない分厄介な相手だと思う。
スカウティングのビデオを見たら凄まじいスイングをするバッターがいた。名前は確か轟雷市?
そういば沢村くんと降谷くんと小湊くんがなんか轟くんが言ってたって話してたなぁ。
青道は眼中に無いみたいな?
そんなこと言ってる奴らの脳天ぶち抜いてあげないとね!!ビデオで見てたら守備力はそんなだったし。あ、でも1人いいピッチャーいたなぁ。荒々しいけどキレがすごいイメージがあったなぁ。
しんみりとした雰囲気を作るつもりはなかったんだけどそう言う空気になってしまった。
気づけば周りに人はいなくてこの場には私たち2人しかいなかった。そう思うとなぜだか急に恥ずかしくなってきた。
今までは普通に話してたのに今は話題を探すのに精一杯。
少しの間喋らない時間が続く。
その沈黙を破ったのは沢村くんだった。
この間も聞いたこの質問。この前はなんて答えたかな?
あの時は曖昧に答えてたかもしれないけど今ならはっきり言える。
あと2勝なんだ。
これしかないでしょ
やっぱりこう言う話はしんみりとした空気になってしまう。
また、願ってもないのにこのしんみり感。
でも。こーいうのもたまには悪くないかもね。
今の沢村くんの言葉が、嬉しくて顔がにやけてしまっているかもしれない。
楽しみにしてるかぁ。
私も楽しみだな。
でも、そのためにはあと2個きっちり勝たないとね!
私も応援頑張ろう!!
では、私もおやすみなさい!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。