第15話

帰り道
1,229
2019/04/17 12:14
OBの方への対応も終わりそろそろバスに乗り帰る。

帰りは小湊くんとでも帰ろうかなそう考えてた。話したいこともあったし
あなた

小湊くんー

小湊春市
小湊春市
ん?どうしたの?
小湊くんの隣はお兄さんがいた。こんなの無理だよね?お兄さんと座るのにお兄さんを退かすとか無理!


.....諦めよう
あなた

やっぱ、なんでもない!ごめんね!

小湊春市
小湊春市
そっか!全然大丈夫だよ!
結局私は空いている席に座ることになった。

そして空いてたのは沢村くんの隣だけだった。

なんで他の人隣座んないのよ!とか、言いながらも嬉しい自分がいて...。

こんな複雑な気持ちは初めてで、どうしたらこのうるさい鼓動を止められるのか分からない。
沢村栄純
沢村栄純
おーい、あなた!ここしか空いてねーぞー。
あなた

わ、分かってる!

分かってるんだってば!

沢村くんに近づけば近づくほど心臓がバクバクと音を立てる。

もう!うるさい!本当に静かにしてよ!

隣に座るのを躊躇いながらもそこしか席が空いてないから仕方なく腰をかける。


しばらく沈黙が続く。

私達には珍しい光景かもしれない。
沢村栄純
沢村栄純
お前、朝のバス俺から逃げただろ。
その沈黙を破り、話しかけるのは沢村くん。
しかもいつも声が大きいのに今だけは小声で話しかけてくる。
私にしか聞こえないように少し顔も近づけてくる。

息が私の頬にかかる。

沢村くんの肩と、私の肩が触れる。

今までだったら何にも気にしてなかった。けど、今は違う。

沢村くんがこんなにも近くにいる。それだけで私の心はまたうるさくなってしまう。
あなた

逃げてないよ。ていうか逃げるって何?

沢村栄純
沢村栄純
そ、それは話しかけても来なかったし。し、しかもあなた!お前今日の朝泣いてただろ?!だから、俺なんか悪いことしたかなぁって。
あなた

別に泣いてないし。しかも万が一泣いてたとしても沢村くんが原因じゃないし。

沢村栄純
沢村栄純
な、なんだよー。俺意外と焦ってたんだからな?!
あなた

どうして?

沢村くんは困ったような顔をしていると思う。

顔は見えないはずなのになぜだかどんな表情をしているのかわかる気がする。

でも、きちんとこの目で確かめたい

今あなたはどんな表情してるの?

何を心配してたの?

沢村くんはなかなか答えない。

理由はなかったのかな。ただ沢村くんが理由なのが嫌だったのかな。

でも、そんなことはなかった。
沢村栄純
沢村栄純
もう一生こうやって話すことが無くなるんじゃないかなって不安に思った
あなた

あははっ!何それ

沢村栄純
沢村栄純
おい!笑うんじゃねえー!!
ようやく、顔が離れた。

沢村くんの顔はとても赤くなっていた。

少し恥ずかしそうに顔を隠す。

みんじゃねーよ!とでも言いたげなその顔はとても可愛らしく思った。

こうやって、沢村くんと話すだけで私はとても幸せに感じる。

こんな日々が続けばいいな。














そう思っていた。


でも、そんな幸せは長くは続かないんだ。

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