莉犬side
あの後、気を紛らわそうと、里美くんとゲームをした
本当は気まづくて帰ろうと思っていたけど、
途中から物凄い大雨が降り出し、帰れないくらいのレベルだったから
俺は里美くん家にとどまった。
とどまる間、気まづいままだと、嫌だから
俺からやろうと言い出して今に至る
『里美くん……強すぎ!もう俺、30敗じゃん!』
里美『30敗……w俺1回も負けてないぞw』
『強すぎて勝負にならない……』
里美くんは物凄い強くて、俺はとても弱い……
(;`皿´)グヌヌ
里美『莉犬ーこのゲームしようぜ!』
笑いながら言ってきた里美くん
気まづい雰囲気にならなくて良かった……
『いいy』
俺が返事しようとした時、
「プルルルルプルルルル」
里美くん家の電話がなった
里美くんは、ムスッとして受話器をとった
『はい…………あぁ、母さん?何?』
しばらく、里美くんは電話で話していた
何を話しているのかは雨の音とゲームの音で聞こえなかった
電話を切った里美くん
『どうしたの?』
俺が首を傾け、心配そうに聞くと、
里美『雨が酷くて帰れそうにないから、友達の家に泊まるってさ……』
そんなに雨ひどいのか……
俺は確認しに、閉まっていたカーテンの隙間から外を見た
そこにはものすごい風で揺れる木、強く地面を打ちつける雨が目に映る
『帰れるかな……』
俺が外を見て心配そうに言うと、
里美『泊まってく?』
と、里美くんが言った
『い、いいよ!走って帰ればだ、大丈夫だし……』
その時、物凄い大きな雷が家の近くで鳴った
『ぎゃやあああああああああああああああああ!?』
俺はビックリして、里美くんに抱きつく
『うぅ……怖いよ…………』
涙目になりながら呟くと、
里美『やっぱ泊まってきなよ……』
里美くんが俺を落ち着かせようと、頭を撫でて言った
大きくて、地味に暖かい手が心地よくて、安心した俺は
『泊まる……』
そう言った
すると
里美『うん!』
とても嬉しそうな顔をして、返事をした
-----------------
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!