第40話

32話
5,037
2020/01/01 02:38
莉犬side







『……じゃあね!』

里美『あぁ、また明日!』



下校の道、俺の家の前で、

里美くんが見えなくなるまで手を振り続けた俺。


キスをしたこの日

喜びと、嬉しさと共に家に帰る




『よし……』

見えなくなると、カバンから、鍵を出して

家のドアに触れる



その時



ガチャン



『……あれ、なんで……開いてるの……?』



ドアはすでに開いていた



『お母さん……仕事、早く終わったのかな……』

俺は、不安を抱きつつも、家に入った


『……た、ただいま!』



中は、薄暗く、

いつも見ている景色とは、比べものにならないくらいの不快感


声を上げても、返事は聞こえない



『…と、電気……』


目をこらし、壁にも垂れながら、

電気を探す


俺は、そのままリビングまで行き


壁にある電気をつけた



『……ふぅ……』



一息つき、ソファーに座る


俺は、怖さを消すため、

テレビのリモコンに手を伸ばす


『つけよ……』


リモコンをテレビに向けた




「え………………」



俺は、その場に硬直した



テレビには、俺が反射していて


その俺の後ろに人が立っていた




『ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!』

叫び声を上げ

後ろを振り返る




『あなたは…………』



この人、見たことがある





『森本……蒼太…先輩……』


この人は、理科部の部長で

ラブレターをくれた人




?『好きだよ』


急にそう呟いた先輩



この声って……

『そ、その声って……』



この声は、よく覚えている

あの日……



里美くんの家にいた日

急にかかってきた

恐怖の電話



その声と、全く一緒なトーン


『先輩……なの……』

誰かが分かって少し安心したものの

なぜいるのか

なにをしに来たのか


問題が沢山あり

恐怖はまだ絶えない



森本『……ビクビクして……可愛いなぁ……』


トン



トン


一歩ずつ、ゆっくりと

近づいてくる


俺は、その一歩と同時に、一歩下がる



すると、森本は、怯えている俺に

携帯を見せた


そこには、一枚の写真があり




俺と、里美くんがキスした写真だった


『どうしてそれを……』


森本『どうしてなのかなぁ……』

拳を握りしめながら近づいてくる


すると、大声を上げて叫んだ

森本『…どうして君は、僕を好きになってくれない!!……どうして里美なんだ……!』


と、言う


その叫び声が消えると、静まり返る部屋




その中で、




プルルルルル




と、リビングにある電話がなる


森本『……』

森本は、なる方向に振り返る


『……っ…………!』

ダッ


その隙に、リビングを出た俺


森本『……っ…待て!!』


リビングを出た俺は、二階に登る


『……ハァ……ハァ』


森本『……このっ……』

俺は、自分の部屋に入り、鍵を閉めた


森本『開けろ……!…』

ドンッ



ドアを蹴る音


薄いその扉は、いつ壊されるか分からない


『……誰かに……っ』

電話して助けを呼ぼうと

携帯を開いた


俺は、着信履歴で1番上にあった

溜雨くんに電話をかけた


プルルルルル


『お願い……出て…………』

怖さで、消えかけた声を出す


電話の音と、ドアを蹴る音が同時になる




溜雨『……はい』

『る、溜雨くん!』

溜雨『……どうしたんですか?』




森本『……誰に電話かけてんだてめぇ!!』

ドアの向こうから聞こえる声


『…………っ……!』

溜雨『……大丈夫ですか?』


『助けて…………


お願い


助けて……』




溜雨『……莉犬?』


『……助けて…………怖いよ……』


溜雨『……っ!今向かいます!!』



プー

切られた携帯






『助けて……




里美くん……』




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mano
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