あなたside
話って何やろう…。
いつにも増して、ゆずるが複雑そうな顔をする。
あの?
あぁ…やっぱ別れ話やん…。
違う、こんな言い方したないのに…。
何で、こんな言い方しかできひんのやろ…。
涙が溢れてくる。
そこまで言うと、急に目の前が暗くなる。
……え…
そこまで言うと、ゆずるが一つの小さな箱を取り出す。
目を見つめられて、名前を呼ばれる。
そう返事をすると、小さな箱が開き、キラキラと光る“指輪”が見える。
.
そんなん、「はい」しか答えはないやん。
ゆずるが、私を真っすぐみつめる。
でも、結局あの女の人って…?
え、めっちゃ美人やん。
あの子が義妹になるの…?
すると、次は大きな袋を渡してきた。
え、あ、今日
うちの誕生日か←
忘れとった(((
開けてみると、私好みの服とかアクセサリーとかが入っとった。
……。
不意にキュンとする。
うちは、幸せ者や…。
そう言うと、どちらからともなく唇を合わせた。
私の左手の薬指の輝きに包まれながら。
完
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!