第30話

第30話 助けられてばっかり
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2020/03/27 05:09
あなたside


店を出て、とにかく走った。


早くこの場から離れたくて…。




「川西さん、好きでした。」

「ずっと前から好きでした。」




ほんまは川西さんに伝えたかった言葉、でも、伝えることができひんかった言葉。

こう思えば思う程、涙は止まらない。



気がつけば、家の近くの公園まで来ていた。

あなた
はぁ…
あなた
好きやのに…

一人で、ブランコに座る。

ブランコをこぐのは、何年ぶりやろう…。

でも、冷たい風が火照った体に当たって気持ちよかった。

あなた
川西さんのこと、忘れられるかな…
独り言を呟くと、知らない男二人が近づいてきた。
ねぇ、君一人?
こんな夜に一人ってことは、彼氏にでもフラれた?笑
俺らと遊ばへん?笑

何この人達…。
あなた
遊びません。帰るんで
そう言って、帰ろうとすると…
ちょっと待ってや
腕を掴んできた。


めっちゃ力強いし…。
あなた
離してください
いいじゃん、楽しいことしよ?笑

そう言って男は笑って、腰に手を回してきた。
あなた
いやっ、やめてくださいっ

それでも、男二人の力には敵わなくて…

連れて行かれそうになる。
あなた
離してっ
いい加減大人しくしろよっ!

男が拳を振り上げる。

でも、その拳が私に落ちることはなかった。







顔を上げると、そこには



アインシュタイン・河井
その汚い手ぇを離せ
アインシュタイン・河井
俺の女や
ゆずるさんがおった。
あなた
……ゆずるさん…?

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