第37話

第35話 会いたい
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2020/04/03 00:22
河井side


もう、あなたちゃんが実家に戻って1年が経とうとしとる。


俺は、あなたちゃんが大阪を出る日、新幹線の時間に間に合わへんかったことにずっと後悔しとった。


あれから、電話してもLINEしてもあなたちゃんに届くことはなかった。



一回だけ、ゆりやんなら連絡先を知っとるかもと思って聞いてみたことがあった。
アインシュタイン・河井
なぁ、ゆりやん。あなたちゃん携帯変えたんやろ?
アインシュタイン・河井
新しい連絡先知らん?
ゆりやんレトリィバァ
……すみません、知らないです…

ゆりやんは申し訳なさそうにそう言った。
アインシュタイン・河井
そっか…


それから、東京に行っても、大阪に帰ってきても、あなたちゃんを忘れる日はなかった。







アインシュタイン・河井
…はぁ…
アインシュタイン・稲田
ゆずるさん、またため息ついてますよ…?
わかっとるよ、そんなん…。
アインシュタイン・稲田
もうすぐで、次のロケに出発するってマネージャーさんが…
アインシュタイン・河井
わかった…

仕事に私情を持ち込んだらあかん…。

切り替えな。
アインシュタイン・稲田
あなたちゃん、ですか?
アインシュタイン・河井
まぁ…
アインシュタイン・稲田
あなたちゃんね、最後の日に「またいつか」って言って帰ったらしいんです…
「またいつか」…。

俺は黙って、稲田の次の言葉を待つ。
アインシュタイン・稲田
だから、またいつか会えると信じましょ?
アインシュタイン・河井
そやな…

稲田にはなんだかんだ言って、結構助けられてるな…。
アインシュタイン・河井
…ありがとう

俺は、聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いて、ロケ地に向かって出発した。

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