涼介くんと二人 駅のホームに着くと
電車が遅延していたのか人が溢れ返っていた
こんなに人が多いと
はぐれちゃいそうだなぁ..
ガタン ゴトン プシュー
電車から沢山の人が降りてきて
後ろの人に押されながら
なんとか電車に乗ることができた
あれ?涼介くん、?..あ、居た
良かった..乗ってた
同じ車両に乗ることができたけど
人に押されて 身動きが取れなくなってた
周りにはサラリーマンの人たち..
この状況... なんだか嫌な予感がした..
っ!! お尻に当たる生ぬるい感触
バッグとかじゃなく 紛れもなく手だ..
後ろも振り向けないし 誰だかわからない
やだ...気持ち悪い...
涼介くん...助け、、て...
怖くて目を瞑る その時だった___
「なぁ、おっさんそれって犯罪なの知ってる?
そんなことしたら、家族が悲しむと思うけど?」
!!!!!
車内に聞こえてきた低めの声
えっ?..この言葉...前にも...
目を開けると涼介くんが男性の手を掴んでいた
..と 同時に駅に着いた電車のドアが開いて
その男性は涼介くんの手を振りほどいて
勢いよく扉から出ていった
周りの人たちは見て見ぬふりをしてる
悪いことしたのはあたしたちじゃないのに..
気まずい..凄く居心地が悪い...
それを感じとったのか
涼介くんはあたしの手を掴み電車から降りた
涼介くんの問いかけに 頷くあたし
あの時..助けてくれた彼..
顔がわからなくて..お礼もできなかった..
あの時の彼は...
涼介くんだったんだ...!!!!?
なぜか涼介くんは
ぎゅっと強く手を握りしめてくれてる
あたしたちは そのまま後からきた電車に乗って
そのあとは手を繋いだまま
電車の中でもそばに居てくれて
すぐにでもあの時のことを言いたかったけど
ドキドキしすぎて 何も言えなかったんだ
電車から降りても手を離さない涼介くん
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。