4時間目。
授業中。
橘
「……」
椅子に座ってるだけなのに。
橘
「……痛い」
小さくつぶやく。
腰が限界。
昨日より痛い気がする。
先生
「橘、大丈夫か?」
橘
「……」
橘
「ちょっと保健室行ってきます」
先生
「ああ、行ってこい」
橘はゆっくり立つ。
でも。
橘
「……っ」
やっぱり痛い。
ゆっくり歩いて教室を出る。
廊下。
橘
「……はぁ」
橘
「最悪」
なんとか保健室へ。
ガラッ。
保健の先生
「あらあなた、どうしたの?」
橘
「ちょっと腰痛くて…」
先生
「横になりなさい」
橘
「はい」
橘はベッドに横になる。
布団をかける。
橘
「……」
数分後。
橘
「……眠」
そのまま少し寝る。
―――
昼休み。
ガラッ。
保健室のドアが開く。
佐野
「失礼します」
保健の先生
「あら佐野くん」
佐野
「橘いますか」
先生
「いるよ、あっち」
カーテンの向こう。
佐野はカーテンを少し開ける。
橘
「……」
寝てる。
佐野
「……」
佐野は小さく笑う。
佐野
「あなた」
橘
「……ん」
橘が目を開ける。
橘
「……はやとくん?」
佐野
「腰大丈夫?」
橘
「……痛い」
佐野
「そりゃそう」
橘
「笑うな」
佐野
「ごめん」
橘
「……」
橘
「帰りたい」
佐野
「帰る?」
橘
「うん」
佐野
「じゃあ帰ろ」
橘
「え、いいの?」
佐野
「先生には言っとく」
橘
「……ありがと」
―――
数十分後。
学校の外。
橘
「……」
橘はゆっくり歩く。
佐野
「大丈夫?」
橘
「微妙」
少し歩く。
橘
「あ」
佐野
「なに」
橘
「家入れない」
佐野
「なんで」
橘
「昨日帰ってないから」
橘
「鍵持ってない」
佐野
「……」
数秒沈黙。
佐野
「じゃあ」
橘
「?」
佐野
「俺んち来る?」
橘
「……」
橘
「また?」
佐野
「嫌?」
橘
「嫌じゃないけど」
橘
「……昨日のこと思い出す」
佐野
「思い出す?」
橘
「思い出す」
佐野は少し笑う。
佐野
「大丈夫」
橘
「なにが」
佐野
「今日は優しくする」
橘
「……は?」
橘
「そういう意味じゃない」
佐野
「じゃあどういう意味?」
橘
「……もういい」
橘の顔が赤い。
佐野
「ほら」
佐野は手を差し出す。
佐野
「帰ろ」
橘
「……うん」
橘はその手を握る。
そのまま——
また佐野の家へ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!