1週間後。
あれから檜谷は全く学校に顔を出さなくなった。彼は友達が少なく影も薄いので、クラスの話題はすぐに別のものになってしまい、彼のことを心配する人はもはや東だけになってしまった。
学校側もこちらに心配をかけさせないためか、何か言うような気配はない。
数日前から一向に気分の良くならない東は、決意を固め、主任に話を聞くことにした。
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主任を訪ねると、誰も使っていない、空き教室に通された。
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ガララ…と教室のドアを閉めた後、東は直ぐ、膝から崩れ落ちた。
嘘だ。嘘だと言ってくれ。
あの日倒れたのは本当に裕だった。
緊急搬送?手術?何から何まで本当に信じられない。信じていたのに。ずっと、ずっと祈っていたのに。
神様は無慈悲だ──────
でも、まだ悪い方向に決まったわけじゃない。もしかしたらたまたま調子が悪かっただけなのかもしれないし、何かの軽い感染症にかかったのかもしれない。
真実は、病院に行ってから聞こう。
今はただ、許可が降りるか、裕が無事か、それを願うだけだ。
幼なじみとして、1番の親友として、そしてずっと煩わせてきた、片思いの相手として……
一刻も早く、お前に会いたい──────
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。