第22話

好きな時間 ~濵田~
518
2021/04/09 12:57



あなたside




「幸せやなぁ、」



久しぶりのデート、

まぁ、仕事の都合で夜になっちゃったけど

近くの海までドライブに



昼間なら多くの人が通るこの場所も

この時間だと人気が無くて、

2人だけの空間と錯覚してしまう。



コンクリートの塀に腰掛けて

月や星が反射する海を眺めていると

月へと呟くようにそう言った彼は

そのまま私の手を握った



『どうしたの?急に』


「別に急やないで、

○○と居る時はいっつも思っとるで」



普段、天然やバカと言われてる彼は

なんの前ぶりもなく、平気でこういう事を言う



そのせいで、

こんなことを言われると思ってない私は、

彼の発言に毎度キュンとさせられて

心臓に悪いんじゃないか、なんて考える



「俺な、朝が好きやねん」


『え?』



急な話の展開に驚くと



「え?」



と、俺なんかおかしな事言った?

そう言いたげな表情を見せる



なんでもないよ、そう言うと

話の続きが始まる



「普段なら俺より早く起きとる○○が

起きた時に横に居って寝顔見れたら

その日はなんかええ日な気がするし、

でも逆に、

起きた時に○○が作った

朝ごはんの匂いがすんのも好きやし

○○が仕事行くためにメイクする時も、

俺が知らん○○の世界をちょっと見れた気して嬉しいし」



彼なりの、と言うべきなのか

独特な表現の仕方で朝が好きな理由が語られる



「あ、1つ忘れとった」


『ん?』



いくつかの理由の後、

何かを思い出した彼はそう声を上げる



「俺より○○が先に家出る時、

俺が「行ってらっしゃい」って見送ると

ドア閉まる前にピースするやん?

俺あれ好きやねん、

なんか.....、ん〜、

俺が世界平和にしたった感?

めっちゃええ事した気分なんねんなぁー」



と、また彼の独特の表現方法が飛び出した



『なにそれ笑』



そう笑ってみると



「え、俺結構ええ事言ったと思ててんけど」



って真顔で言うから、もう笑いが止まらなくて

静かな海辺に私の笑い声が響いた



『ねぇ、崇裕?』


「ん?」







私も、あなたと居る時間が1番幸せだよ

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