中間side
「ただいまぁ〜」
玄関のドアが開いたと思ったら
聞こえてきた力のない声
『おかえり』
そう言いながら
読んどった本を閉じてメガネを外す
「淳くんもう帰っとったん?
今日仕事やったんちゃうの?」
手を洗い終わったあなたが
着替えながら不思議そうに聞いてくる
『珍しく早く終わったから
すぐに帰ってきた』
「そっか、」
『うん』
部屋着に着替え終わったあなたが寝室から出てきて
ソファーに近づく
「ふぅー、」
後ろから抱きしめられて、肩に顔が乗せられる
『どーしたん?
疲れた?』
そう聞くと、少し間が空いて
「んー、まぁそれもあるけど
淳くんが居ったんが嬉しかったかなー
ちょっと安心したかも」
って言いながら俺の肩に頭を埋める
少し頭を撫でると
それに応えるように少し腕に力が入る
『こっちおいで』
と隣を叩くとストンと座るあなた
「ご飯食べやんの?」
『もうちょっと
こうしとってもええんちゃう?』
「ん、安心する」
あなたはちょっと強がりやから
たまにこうやって息抜きせな壊れてまう
そのタイミングは多分、
俺が最初に気づけるはずやから、
たまにはこうやって息抜きしよな
『ご飯なんか取る?』
「でも」
『ええやん、たまには
いつも一生懸命頑張ってんねんから
今日はとことん楽しよ』
やから今日は、少しでもええから隣に居ってや
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。