第26話

独占欲の花 ~桐山~
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2021/05/11 12:00




桐山side




『なぁ、なんなんこの匂い』




仕事が終わって帰って来た○○
普段通りにお疲れ様の意味を込めて抱きしめる


普段ならお気に入りの香水の匂いがするのに
俺の元へ漂ってきたんは
○○からは想像も出来やんようなゴッツい匂い


その匂いにゆっくりと腕を解き、
一気に○○を壁に押し付ける




『これ、なんの匂い?』


そう問いかけると


「なんのこと?」


と返した○○





『男でも出来たんか?』


どう考えたって、明らかにこの香水は男モノで
それが○○の体に纒わり付いとる


「何言ってんの?照史が居るやん」
『じゃあなんや、香水の好みが変わったんか?』
「今日の商談相手が香水の匂いが強い人やったから
それが移ったんやない?」


俺の追求をスルりとかわす○○の余裕に腹が立つ




『なぁ、自分の状況分かっとる?』


彼女から香るその余計な匂いは
いとも簡単に、俺の醜さを引き出す材料になる


キレイな曲線に沿った布を普段より乱雑に剥ぐと
少しずついつもの香りが戻り始めた




はずだった




首元に擦り寄った時、


名残惜しい


と言わんばかりに張り付いた香りが鼻を掠めた




その時点で


「ちょ、まっ.........」


彼女の制止など届くはずもなく
○○の体は桜の散るこの時期のように
綺麗な花びらを纏った




なぁ、この香りはどこの誰なん?






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