レイ、フィルはザックに任せてきた。
…アイシェ、どうするの?
それなんだが、こないだレウウィス達と約束結んだだろ?それを利用させてもらおうぜ。
?
アイシェを、鬼達に預けるんだよ。
アイシェさえ引き離せば、殺しも殺されもしないってこと?
あぁ。
アイシェは人間だ、武器さえ奪えば鬼には敵わない。
レウウィス達の都合が悪けりゃ、アダムとかに頼めばいい。まぁヴァイオレットあたりに頼みや、すぐ貸してくれんだろ。
(貸すって言い方よ…。)
それにアイシェは今も他の奴らを狙ってる。
今んとこハウスで一番フィルが人目を引いてる、そいつに何でも怪我をさせりゃ、みんながそっちを向く。みんながフィルしか見なくなる。
それを狙って、次の獲物を襲うってわけ。
そんなら全員が全員を守れば、とはなるけどそれじゃ四六時中休まらない。
だったら人間より遥かに力がある鬼に頼めばいいんじゃね?って話。
でもさ、ノーマン自身死ぬ気でいるんだよ?
アイシェ一人の為に。
そう、そこなんだよな。
あいつはまだ分かってない、責任全て背負おうとしてやがる。
だって…、当たり前だろ。
!!
ノーマン!
お前っ…!
まだ二人共、分かってないんだね。
僕が全て正しい、絶対なんだ。
違う!ノーマンは…!
違わない。
2年前の僕の出荷だって、二人は脱獄の失敗だと思ってるんだろうが、あれは成功だ。
だって、僕が出荷されなければみんな脱獄してこれた?
脱獄できたよ、それなのに!
いいや、出来ない。
なんで、…なんでそんなことが言える!
俺は何年も前から、お前ら二人を救う手を血反吐を吐くほどの努力で積み上げてきたんだ。
苦手だった勉強もママやお前らに悟られないように、脱獄のためだけにしてきたんだ。
でも、君も死のうとした。そうでしょう、レイ?
フフッ、アハハッ!アハハハはハッ!
笑えてくるね、二人は物語の勇者、ヒーローみたいな理論で死ぬほど頑張ってる。
ノーマン…。
それよりも、効率的に確実にそれが出来る方法があるのに、わざわざ遠回りの方法で頑張ってる。
それで勝手に倒れて、家族みんなに心配をかけてる。
今回の件もそうだよ、僕が死ねば全て片が付くんだ。たった一人が死ねばみんなが助かる、これほど素晴らしいことはないだろう?
じゃあなんであの時、脱獄の時お前は逃げた!
逃げた?
お前は鬼が、ママが、外(未知)の世界が怖くて俺らに計画を押し付けた。
違うのか?お前は勝手に逃げたんだ。
僕が逃げた?計画を押し付けた?
…ふざけるのもいいかげんにしろ、レイ。
っ…!!
僕が死なないことは分かっていたよ、どんなことをこれからされるんだろうって不安はあったけどね。
死なないことは分かっていた?
じゃあどうして…!
そもそも、ママが僕を満期で出荷しなかったのがおかしかった。
君も思ったろう?「おかしい、こんなことは有り得ない」って。
僕はラムダで、天才だと言われていたんだ。
これは自賛じゃない、事実だ。
ママはそんな肉を途中で手放すなんて絶対、断固そんなことはしたくない。
自分の利益になり得るものを、簡単に手放すなんてしたくない。
(指先でも許されない、高級な肉…。)
それに目の前には研究を手伝ってくれ、とピーター・ラートリーが1人。
明らかに異常だ。
ピーター・ラートリーが目の前にいて、確信したよ。
これは出荷じゃない、移動だとね。
死なない道があった、なのにノーマンは行ってしまった。
どうして、どうしてノーマンは自分はどうでもいいみたいに思えるの?
エマ、王都で僕は鬼の絶滅がすべての救済、そう嘘をついた。自分に嘘をついていた。
でもこれは嘘じゃない。
…申し訳ないんだ。
彼女を助けているつもりがこんな事になるなんて、思いもしなかった。
だから、僕はこの道を選んだんだ。
今まで二人の真っ直ぐな想いに助けられてきたけれど、今度こそこれが、僕の本心だ。
クソッ…!
ごめんねエマ、レイ。
…二度と僕の邪魔をするな。
…やだよ。
ノーマンが考えを変えてくれるまで、私とレイはとことん邪魔する。
あぁ、納得がいかねえ。
俺らは全力で、お前の邪魔をする。
お前を一人で逝かせない。
(ああ…、そうか。君たちはそうなのか。)
ザジ、連れて行け。
!?
………。
ザジ!?
聞こえたろ、ザジ。
あうあー!
ザジは二人の腕を掴んで、ドアの外まで連れて行く。
必死に振りほどこうとしたがびくともしない。
待ってザジ!ノーマンと話をさせて!
離せっ、おいノーマン!
あうあっ!!
っ!
………。
ドアが閉まって、部屋にはノーマン一人になった。
エマとレイの叫び声はまだ聞こえていた。
(二人共、許してくれ…。僕は僕のせいで、周りが傷ついていくのに耐えられない。)
…さて、彼女に会いに行こう。
いいねして作者を応援しましょう!
この小説を読んだ方は、こちらの小説も読んでいます
- ノンジャンル
家出少女 , イーストン校にて兄達と再会してしまいました
エリート貴族で有名なマドル家には 数年前 " 事故死した" 娘がいたそうです . ________________________________________ 《祝》👏👏👏 ・すべて デイリーランキング 20位 ( 2/12 ) ・すべて デイリーランキング19位 ( 3/4 ) ・すべて デイリーランキング 9位 ( 3/8 ) ・ノンジャンル デイリーランキング 8位 ( 2/12) ・ノンジャンル デイリーランキング 7位 ( 3/4 ) ・お気に入り1000突破 ( 2/15 ) ・お気に入り2000突破 ( 3/4 ) ・お気に入り3000突破 ( いつのまにか ) 感無量です… 😭
favorite 8,007grade 4,615update 1日前 - 恋愛
フルスコア組から猛アプローチ受けてます。
約ネバが鬼のいない普通の世界だったら。
favorite 1,362grade 407update 2024/04/11 - ノンジャンル
失敗作少女
冷炎を恨んだ
favorite 165,164grade 11,669update 6日前 - 青春・学園
運動神経の優れた私の正体は…【完】
椚ヶ丘中学校 3年E組を卒業した私が烏野高校で男子バレー部のマネージャーとして送る高校生活の物語! ―――――――――キリトリ線――――――――― ・原作と異なる事多々 中学時代の作品はコチラ👉https://novel.prcm.jp/novel/tlGdipuniFd7EtQqovoQ この度、この作品の漫画版を描いて頂きましたっ! 漫画版の作品はコチラ👉 https://novel.prcm.jp/novel/5ceRyBkKmpPB6ZduEdP0
favorite 181,969grade 6,315update 1日前 - ファンタジー
正 し く な れ な い
🤍 ≫ 第1章 start 🖤 ≫ 第2章 start 🧡 ≫ 第3章 start フルスコア組の一人である、主人公。 孤児院の秘密を知った 、エマ や ノーマン達と脱走を試みる。 果たして 、脱走は成功するのか ? そして、主人公が皆に隠している秘密とは‥? " こ の 作 品 は 、 何 か が 違 う ‥ " 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 目 指 せ ! # 約 束 の ネ バ ー ラ ン ド 1 位 🙏🏻 ≫ 1 位 達 成 🥹🥹 2 0 2 3 . 5 . 1 7 ≫ フ ァ ン タ ジ ー 新 作 1 位 🥇 2 0 2 1 . 3 . 2 0 ≫ フ ァ ン タ ジ ー デ イ リ ー 1 位 🥇 2 0 2 3 . 2 . 1 3 あ り が と う ご ざ い ま す 😭
favorite 19,760grade 2,912update 5日前
コンテスト受賞作品
もっと見るONE N’ ONLYオーディオドラマ原案コラボコンテスト
公式TikTokの注目動画
もっと見るチャレンジ小説
もっと見る- 青春・学園
夢主の親友ポジになったので全力で作品を盛り上げたいと思う
今世がまさかの(ある意味)王道夢小説の世界だったけど夢女子の一人として不満が満載なので総力を尽くして作品を盛り上げたいと思います 「夢主また屋上でボカロ歌ってんな」 ______ ある日、前世の記憶(限界夢女子時代)が蘇った主人公『親友』。そんな彼女が生活する今世はかつて自分が好きだった作品の"夢小説"の世界だった。 この世界を読んだ人が楽しめるよう盛り上げるべく立ち上がる親友。 夢小説あるあるな展開を作り上げたり、キャラクター達の口調を正したり、時には推しを眺めたりして、今日も彼女は夢主の隣で暗躍していた。 今日も波瀾万丈な夢小説生活が始まる。 ※この作品は、夢小説や夢小説作家の方々を批判するものではありません すでに投稿した文章を時折修正する可能性がございますが、内容には支障をきたさないようなるだけ注意させていただきます 夢小説あるあるをコメントしていただけるとありがたいです 作品内で使わせて頂く可能性があります 表紙は自作です
- ファンタジー
私は「普通」がいいの!
なぜか前世の記憶をもって転生したラナ。 前世では大きすぎる力故殺されてしまったから、今世では目立たないようにいきる! はずなのに………
- ファンタジー
この世界を君が紡ぐ
ある日。一つのことを除き、記憶を無くした主人公が目を覚ました。 その主人公は、自分には「ハイジャ」という名の姉がいた。それだけは覚えていた。 主人公は、無くした記憶を取り戻しながら、様々な種族と交流し、姉を探す旅に出る。 ────────────────────────── 【プロローグ】 第1話〜第8.5話 第1章【アウィス】第9話〜 ────────────────────────── 表紙とアイコンのイラストは自作です 4/2 チャレンジ称号獲得!ありがとうございます!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。