───〇月✕日△曜日───
さとみside
今日はころんと10時に遊ぶ約束をしている。
外で遊ぶのは久々だ。楽しみで30分前に来てしまった。
AM10:10
自分から誘っておいて遅れるって…まあころんのことだし笑
駅からころんの家まで約15分。いけばころんも支度が終わっている頃だろう。
テクテク…
ピコンッ
ころんからLINEだ。
自分から誘って人を散々待たせておきながらドタキャン?!
タタタタッとすばやくメッセージを打って早足でころんの家へ向かった。
〜5分後〜
ピンポ-ンとインターホンを鳴らす。
反応がない。
ギィ…と控えめに扉が開き、隙間からころんの顔がちらっと覗いた。
扉のチェーンはかかったままだった。
一旦扉が閉まってからカチャッとチェーンの外される音がした。その数秒後、静かに扉が開いた。
ころんは普段と変わらないTシャツにジーパンという成り立ちだった。しかし明らかに顔色が悪い。
ころんを部屋へ誘導しようと背中に手を置いたとき。
ころんがドンッと俺を突き飛ばした。
ころんは顔を青くして汗だくだった。
俺は壁に背中をぶつけ、床にしりもちをついていた。
多少イラッときたがころんの顔面蒼白をみて怒る気力も失せてしまった。
ガタガタと震え、今にも泣き出しそうな顔をしている。
小さく震えながら、ころんはコクッと頷いた。
ふるふると弱々しく首を振った。
優しくなだめた。これでころんも落ち着いて話せると思ったからだ。
しかしころんはどんどん顔を歪ませ、最終的にはズルズルと膝から崩れ落ちて泣き出してしまった。
ヒック、ヒック、と嗚咽を上げながらころんは途切れ途切れに言った。
【後編へ続く】
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!