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第1話

透明な君〜前編〜
1,870
2019/10/23 03:51
───〇月✕日△曜日───
さとみside
さとみ
さとみ
早く着きすぎちゃったな…
今日はころんと10時に遊ぶ約束をしている。
外で遊ぶのは久々だ。楽しみで30分前に来てしまった。
さとみ
さとみ
まあ気長に待つかあ〜
AM10:10
さとみ
さとみ
ころん来ないな…
自分から誘っておいて遅れるって…まあころんのことだし笑
さとみ
さとみ
家まで行ってやるか
駅からころんの家まで約15分。いけばころんも支度が終わっている頃だろう。
テクテク…
ピコンッ
さとみ
さとみ
ん?
ころんからLINEだ。
ころん
ころん
ごめん今日やっぱり行けない
さとみ
さとみ
は?
自分から誘って人を散々待たせておきながらドタキャン?!
さとみ
さとみ
なんでだよ。理由は?
ころん
ころん
えっと…今日美容室予約してたの忘れてて…
さとみ
さとみ
じゃあ俺もついてってやるから支度してろ
ころん
ころん
えっ?!いや…違う…そうじゃなくて…お腹痛くなってきた…みたいな…
さとみ
さとみ
はぁ?とりあえず今お前ん家向かってるから待ってろよ
タタタタッとすばやくメッセージを打って早足でころんの家へ向かった。
〜5分後〜
ピンポ-ンとインターホンを鳴らす。
反応がない。
さとみ
さとみ
おーいころんー!!開けろー!!
ギィ…と控えめに扉が開き、隙間からころんの顔がちらっと覗いた。
さとみ
さとみ
おいどうしたんだよ?顔色悪いぞ?…ってか、なんでチェーン外さないんだよ
扉のチェーンはかかったままだった。
ころん
ころん
いや…その…
さとみ
さとみ
とりあえず今の状態分かんねぇし、部屋入らせろって
ころん
ころん
…わかった
一旦扉が閉まってからカチャッとチェーンの外される音がした。その数秒後、静かに扉が開いた。
ころん
ころん
…どうぞ
ころんは普段と変わらないTシャツにジーパンという成り立ちだった。しかし明らかに顔色が悪い。
さとみ
さとみ
お前顔色めっちゃ悪いな…腹痛てぇのか?とりあえず座った方がいいだろ…?
ころんを部屋へ誘導しようと背中に手を置いたとき。
ころん
ころん
っ?!嫌っ…!!!
ころんがドンッと俺を突き飛ばした。
ころんは顔を青くして汗だくだった。
俺は壁に背中をぶつけ、床にしりもちをついていた。
さとみ
さとみ
は…何すんだよ…
多少イラッときたがころんの顔面蒼白をみて怒る気力も失せてしまった。
ガタガタと震え、今にも泣き出しそうな顔をしている。
さとみ
さとみ
…わかった。一旦落ち着こう。訳は知らないがころんは俺に触られるのが嫌だ。俺はここから動かないから話をしよう。
小さく震えながら、ころんはコクッと頷いた。
さとみ
さとみ
まず初めに、ころんは今日は具合が悪いのか?
ふるふると弱々しく首を振った。
さとみ
さとみ
美容室は?
ころん
ころん
…嘘です
さとみ
さとみ
じゃあ今日はなんで急に行けなくなったんだよ?どんな理由でも聞くから、言ってみな?大丈夫だから
優しくなだめた。これでころんも落ち着いて話せると思ったからだ。
しかしころんはどんどん顔を歪ませ、最終的にはズルズルと膝から崩れ落ちて泣き出してしまった。
さとみ
さとみ
ぅえ?!お、おい、大丈夫か?!
ころん
ころん
…さとみっ、くんっ…グズッ
さとみ
さとみ
ど、どうしたどうした?
ころん
ころん
さっき…っ、僕が何言っても、聞くって言ってくれた、よね、?
さとみ
さとみ
おう、なんでも聞くぞ?
ヒック、ヒック、と嗚咽を上げながらころんは途切れ途切れに言った。
ころん
ころん
天使病、って…しって、る…?
【後編へ続く】

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