第5話

袖切れ狐
1,147
2020/03/21 20:32
空気を読まない作者
空気を読まない作者
はーああ
空気を読まない作者
空気を読まない作者
小説を書く気力湧かなすぎて普通に3ヶ月くらい更新してない気分に浸っている今日この頃なんですけどもぉ(某白玉YouTuber)
空気を読まない作者
空気を読まない作者
ちな登場人物のアイコンは公式から引っ張ってきてるので無断転載になりかねないらしい…。分かってる、分かってるけど画像作るの面倒くさすぎて未だに手付けてないだけなんや、しばらくはこれで許してくれ
空気を読まない作者
空気を読まない作者
ころちゃんの続き書きますてか書いてますごめんなさい許して…ぴえーん(地雷系女)
空気を読まない作者
空気を読まない作者
ごめんがんばるわ…死ぬ気でがんばるわ…じゃどうぞ
空気を読まない作者
空気を読まない作者
設定:明治時代くらい
2人は子供。今で言う小6くらいかな?
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「また会える?」
「また会えるよ、必ず。」
「…」
「ねぇ」
「目、閉じて」
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さとみ
さとみ
どこか休める場所…
見えるのは知らない人。聞こえるのは太鼓とざわめき。
夏祭り。爺もいないで1人で外出するのは初めてだ。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
なあそこの小僧
さとみ
さとみ
え?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
休めるとこあるぞ、こっち来てみぃや
さとみ
さとみ
あ、はい、ありがとうございます…?
赤の他人に話しかけられるのも、もちろん初めて。訳も分からないままついていく。
人混みをぬけて茂みの中に来た。本当にこちらに休める場所があるのだろうか…
さとみ
さとみ
あ、あの、こっちはずっと茂みですよ…
さとみ
さとみ
…っ!!!
さとみ
さとみ
い゛っ…!!
男に突然腕を捕まれ、近くの木に打ち付けられる。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
お前、男のくせに可愛ええ顔しとるな…
さとみ
さとみ
っえ…?
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
小僧なら問題ないだろ
そう男は言うと、俺の服を無理矢理脱がそうとしてくる。
襲われる、と脳が判断するのに数秒かかった。
さとみ
さとみ
ぃやだ…ッ!!!
バンッと精一杯の力で男を押しのけ、揺らいだ隙に一目散に走り出した。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
てめぇ!!!逃げんじゃねぇぞクソガキが!!!
さとみ
さとみ
はっ…はっ…ッは…
走り出したは良いものの、普段から家の外に出ることが出来ないから体力も乏しい。
さとみ
さとみ
ッ…?!
目の前がぐわんと歪み、チカチカ光る。思わずその場に倒れ込んだ。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
へっへ…餓鬼が大人に勝てるわけねぇんだよ!
さとみ
さとみ
クッ…ソ…
男が近づいてくる。
もう駄目だ───────
次の瞬間。
バタッと大きな音がして、後ろを振り返る。
そこには、先程まで追いかけてきていた男が倒れていた。
さとみ
さとみ
え……?
今俺の事追いかけて…え…?
状況が全く理解出来ず頭が混乱している。
???
死んでないぞ、気を失ってるだけだ
さとみ
さとみ
っ?!?!誰だっ?!
りいぬ
りいぬ
そんな警戒するな、助けてやったんだから笑
さとみ
さとみ
はっ…?
俺を助けたとかいう赤髪の奴は───────木の上から俺を見下ろしていた。
しかも…耳?!しっぽ?!鈴?!顔に紙?!
さとみ
さとみ
………
空いた口を必死に動かして言葉を発する。
さとみ
さとみ
…あ、
さとみ
さとみ
妖…?
りいぬ
りいぬ
お、妖だと分かっても逃げないんだな
なんだこいつは…?!
逃げない、というより恐ろしくて"逃げられなかった"。
木の上からストッと地面に降りてきたそいつは顔に貼り付けていた紙をとった。
ドクン、と胸が鳴る。
左右で違う透き通った目に一瞬で心を奪われた。
さとみ
さとみ
綺麗…
りいぬ
りいぬ
はは、美しいだろう?俺の目は
りいぬ
りいぬ
まあ、別れる時には忘れてしまうがな
さとみ
さとみ
えっ?
そういえば、こいつ尾が九つ…
さとみ
さとみ
お前…九尾きゅうびか…?
りいぬ
りいぬ
気づくのが遅いな、お前成金の息子のくせに頭の回転は遅いのか
さとみ
さとみ
な…?!
「頭が悪い」と言われたのはむかついたが、その前に何故俺が成金の生まれだと分かったんだ…?
りいぬ
りいぬ
そりゃあ、俺は九尾だからな。人間ごときの家事情なんて把握してる。そしてお前の頭も読めるぞ。
もはや驚きすぎて声も出ない。
ただただポカ-ンと口を開けて、にやにやと気持ちの悪い笑みでこちらを見下ろす赤髪を見つめるばかりだった。
さとみ
さとみ
…お前名前は?
りいぬ
りいぬ
ん?あぁ俺か?人間ごときに名など名乗らんぞ
さとみ
さとみ
いちいちお前は癪に障るな?
りいぬ
りいぬ
はは笑 そりゃあ悪かったな笑
りいぬ
りいぬ
それより
スッと手が差し出される。
りいぬ
りいぬ
丁度暇をしていたんだ、俺の遊び相手になってくれないか?
りいぬ
りいぬ
1日も借りない、夕暮れまでだ
さとみ
さとみ
…何が目的だ?金か?
りいぬ
りいぬ
金ぇ?俺を誰だと思ってるんだ、あの莉犬様だぞ
さとみ
さとみ
…へえ、莉犬、ね
りいぬ
りいぬ
あっ…?!
こいつ意外と馬鹿かもな…笑
りいぬ
りいぬ
馬鹿とはなんだ
さとみ
さとみ
あ、読まれるのか
さとみ
さとみ
んーまあ、遊ぶのは構わないけど…
りいぬ
りいぬ
どうした?何か問題でもあるのか?
さとみ
さとみ
その喋り口調、どうも気になる…俺と同じ感じにしてくれない?
りいぬ
りいぬ
あぁ、そんなことか
莉犬はうんうんと何回か咳払いをした。
りいぬ
りいぬ
こんな感じかな?
さとみ
さとみ
お、おぉ、すげえ…
りいぬ
りいぬ
日が落ちるまであと数時間だ、早く遊びに行こう!
さとみ
さとみ
あ、そうだな
りいぬ
りいぬ
じゃあこれに乗っていくから俺にちゃんと捕まっとけよ
さとみ
さとみ
?!こ、これって…
雲?!
りいぬ
りいぬ
ああ、まあこれは上流の妖だけ乗れるやつだよ、馬車みたいなもの
さとみ
さとみ
莉犬って結構すごいんだな…
りいぬ
りいぬ
まあね、妖の中でも長く生きてる方だから
さとみ
さとみ
今いくつなんだよ?
りいぬ
りいぬ
今?んー…途中から数えるのも面倒くさくて…大体600はいってるかな
さとみ
さとみ
俺と同じくらいの見た目なのに?!
りいぬ
りいぬ
む、失礼だな!身軽だからこの大きさなだけだよ!本当の俺はちゃんと狐の姿なんだからな
狐…想像がつかないな…
りいぬ
りいぬ
あ、ついたぞ
さとみ
さとみ
山…?
りいぬ
りいぬ
ここの山は妖だけが来れる山なんだ。結界があるから人間には見えないんだよ
りいぬ
りいぬ
あそこら辺に降りようかな
雲は森の中にス-ッと入っていって切り株の側で止まった。
りいぬ
りいぬ
よし、じゃあ行くぞー!!!
さとみ
さとみ
うわっ、ちょっと待てよー!
────────────────────
あれからは木の実をとって食べたり森の上からの景色を眺めたり川で水遊びをしたり、やること全てが生まれて初めてだった。
あっという間に、もう夕暮れだ。
りいぬ
りいぬ
さとみ!!こっちこっち!!
さとみ
さとみ
莉犬走るの早いんだよな〜…
りいぬ
りいぬ
ほら早く早く!終わっちゃう!
ついていった先は森をぬけて村が一望出来る場所。
莉犬の指さした所には真っ赤に輝いた夕日がゆっくりと沈んでいた。
さとみ
さとみ
きれー…
りいぬ
りいぬ
だろ?笑 これを誰かと分かち合いたくてさ笑
りいぬ
りいぬ
せっかくなら人間を連れてこようと思ったんだ
夕日に照らされた莉犬の瞳はもっと透き通って、静かに景色を見つめる横顔の方が夕焼けより綺麗だと思った。
シャラン、と莉犬の着物についた鈴が鳴る。
さとみ
さとみ
…莉犬ってさ
りいぬ
りいぬ
ん?
さとみ
さとみ
赤果せきか神社のお稲荷さんに似てるよな、あそこのお稲荷さん九尾だし
りいぬ
りいぬ
ギクッ
さとみ
さとみ
え?まさか…
りいぬ
りいぬ
…当たりだよ
さとみ
さとみ
えええ?!そうだったんか?!
りいぬ
りいぬ
まあ相方は何百年も前に消えたけどな
さとみ
さとみ
えっ…
あそこのお稲荷さんの像が1つしかないのってそういう意味だったんだ…
りいぬ
りいぬ
…もう日が沈む。さとみ、今日は楽しかったよ。ありがとう。
りいぬ
りいぬ
目をつぶって。俺とさとみのおでこをくっつけたら、家に帰れるから。
莉犬は、やっぱり寂しそうな顔をしていた。
けど俺にはどうすることも出来ない。
さとみ
さとみ
記憶は消さないで欲しい…
りいぬ
りいぬ
…いつもは人間に見られたら記憶を消すんだけど、今日は消さないよ。
…帰りたくない。
さとみ
さとみ
また会える?
りいぬ
りいぬ
また会えるよ、必ず。
さとみ
さとみ
りいぬ
りいぬ
ねえ
りいぬ
りいぬ
目、閉じて
涙が頬を伝う。
さとみ
さとみ
…また遊ぼうな
りいぬ
りいぬ
…うんっ
コツン、と額同士がぶつかった。
────────────────────
さとみ
さとみ
爺?爺!
爺
はい、お坊ちゃま。どうされましたか?
さとみ
さとみ
俺ってなんで外出て遊んじゃいけないの?村の人と話したこともないし夏祭りだって行ったことないんだよ!行ってみたいのに!
爺
ご主人様からの言いつけですからねえ…。爺にはどうすることも出来ません。
さとみ
さとみ
ちぇっ…
爺
と、いつもなら言いますが。
さとみ
さとみ
ん?
爺
実は本日の夏祭りに行っていいと許可が降りました。爺の付き添いにて夏祭りを楽しみましょう。
さとみ
さとみ
え?!本当?!やったあああ!!!人生初の夏祭りだあああ!!!
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
【夏祭り会場】
さとみ
さとみ
人が多いなあ…
さとみ
さとみ
…?爺?
さとみ
さとみ
あれ?爺がいない…
いつの間にはぐれたんだろう…
見渡しても知らない人ばかりで、爺を探せないほど人が混みあっている。
さとみ
さとみ
う…せまい…
ドンッ
さとみ
さとみ
うわあっ!!
さとみ
さとみ
っいってえ〜…
???
おっと、これは申し訳ない
目の前に手が差し出される。
???
すまんな、大丈夫か?
さとみ
さとみ
大丈夫で……っ!!
膝に血が滲んでいた。ズキズキと傷んで立っているのも一苦労だ。
???
これはひどいな…私の着物の裾で申し訳ないが、一旦これを巻いておけ
相手はビリッと自分の着物の裾を破り、手際よく俺の膝に巻き付けた。
爺
お坊ちゃま?!さとみお坊ちゃま!!
さとみ
さとみ
あ、爺だ!おーい爺!!ここだー!!
???
では、私はこれで
さとみ
さとみ
えっ、お礼をしたいのですが…
???
はは、礼など構わん。気にするな。
???
ではな
その人はクルッと向きを変えるとあっという間に人混みの中に消えていった。
と、同時に爺と合流する。
爺
坊ちゃんはぐれてしまって申し訳ございません…。お怪我もされてしまってますし、今日のところはもう御屋敷へ帰りましょう。
さとみ
さとみ
お、おう、わかった
何故だか先程助けてくれた人が気になる。だが、顔が思い出せない。いや、見えなかったのか?
紙のような物が貼ってあった気も…
モヤモヤとしながら爺と一緒に神社の入口まで戻る。
さとみ
さとみ
…?なあ、爺
爺
どうされましたか?
さとみ
さとみ
この神社、お稲荷さんが1匹しかいないんだな
爺
ああ、昔からずっとそうなのですよ。
さとみ
さとみ
へえ…
って、お稲荷さんに被せてある着物のここ、ちぎれてる!
爺
これは人が割いた跡ですね…誰かがイタズラしたのでしょうか…?
さとみ
さとみ
どうにもそのお稲荷さんから目が離せなくて自分の記憶を辿ろうとするのだが、思い出そうとするとズキズキと頭が痛む。
そういえば、夏祭りなのになぜあの人は浴衣じゃなくて着物を着ていたんだろう。
いくつもの疑問を考えていると、何故か何度も狐を思い浮かべてしまう。
だんだんと考えているのも頭が痛くなってきたので、途中で考えるのはやめにしようと思った。
さとみ
さとみ
(あんまり夏祭り楽しめなかったなあ…)
結局家かあと考える俺の後ろで、シャランと鈴が鳴った気がした。
〜Fin〜

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