僕の右目が怪我を負った年の夏
今年は雨が降らない
雨が降らなければ作物が育たず食べるものがなくなる
食べ物がないと人は生きてはいけない
ある夜に僕は目が覚めた
夜遅くに居間に明かりがついているのが見え気になり居間の方へ歩く
大人たちの話声が聞こえる
雨乞いのため丁を生贄に使うと
それを聞き僕は居間の扉を開ける
大人たちは驚き僕の方を見る
その後は大人たちと話をし僕が生贄になることに決まった
ただ丁とは違い神様の嫁になることになった
そして死しても肉体に魂をつなぎ留め肉体ごと動かせるようにするらしい
そしてその神様は女の人が大好きらしい
女になりきり神様を連れてこいと言われた
6ヶ月以内に神様を連れてきて雨を降らすことが出来れば丁を生贄には使わずまたちゃんと村の人間とし僕の代わりに息子として大事に扱うと
そして丁には生贄のことは内緒にすると約束した
必ず神様を連れてきてみせる
でも神様に嘘はつけない
ちゃんと男だと言いそれでも良いとおしゃるのなら
駄目だと言われても僕のすべてを捧げてでも連れてくる
そう心に決めた
あの日から思い残すことがないように丁に以前にも増してべったりとしているためかそう聞かれた
本当のことは言えない
丁には黙っていなければいけない
生贄になる日は明日
明日の日が昇る前に僕は死ぬ
丁には言えない
僕はただ丁を抱きしめることしかできない
大好きな丁
そして家に帰り今日の晩御飯はご馳走になっていた
つい丁にあれこれ食べさせてしまった
丁は意外と大食いだったのだと驚いたくらいだった
今日は丁とお風呂に入り一緒に眠る
もう一緒には出来ないそう思うと悲しくなった
横を見ると丁が眠っている
僕は眠ることが出来ずずっと丁の寝顔を見ていた
そろそろ時間になる
起き上がり準備をし
最後に丁の額にキスをし部屋を出る
生贄の祭壇で僕は死んだ
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。