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第3話

異世界
朝の光が差し込み、白いカーテンがなびいている。


すずしい風が吹き込み、全ての空気を冷たく冷やしていく。


その寒さに気づいたのか、エレンは眠い目をこすりながら起き上がった。
 
エレン
カーテン、閉め忘れてる。
誰が閉め忘れたんだ?
ヒラヒラとなびくカーテンを握りしめると、エレンはかすかに聞こえてくる誰かの歌声を耳にした。 


美しく響いているその甲高い歌声は、エレンの心を思わずわしづかみにしたのだ。




エレンは裸足のまま、二階の窓から飛び出した。


はやくその声の正体が知りたいからだ。




自分の部屋の下には運良く、ふかふかのわらがいてあったのでケガもそれほどしなかった。


指をちょっとすりむいただけだが。
エレン
あのー……
歌を歌いながらハープを弾いているその子に、声をかけた。


後ろ姿だけしかわからないが、白い髪を肩まで伸ばしている美しい少女だとなんとかく分かった。


しかも彼女のいる場所が向かい側の家の屋根の上だったため、エレンの声が届いているとは考えにくいだろう。
 






エレンは向かい側の家の壁を使ってよじ登り、少女の姿をまじまじと見た。


彼女の顔をよく見ると、青いひとみにオレンジのカチューシャをしている。


ここら辺では見ない少女のようだ。






エレンは少し興味を持ったのか、その美しい歌声をきながら彼女の隣に座る。


よくその歌を聞いてみると、何をしゃべっているのか全くわからない。





おそらく壁外から来た少女なのだろう。




あり得ないけれど……。
 









少女は突然ハープを弾くのをやめて、大きなため息をつく。
アニ
なんでこんなことをしているんだろう……。
私はどうしてこんなところにいるんだろう……
エレンは初めて彼女の高く響く声を聞き、少しだけ目を見開いた。


彼女がエレンと同じ言葉を使っているからだ。


歌は全く違う言語だったのに。








エレンは握りこぶしを強く握りしめ、その少女に声をかける。
エレン
キレイな歌声だね。
とても気に入ったよ。

そうだ、名前なんていうの?
俺はエレンっていうだ。
アニ
私は……アニ……アニって呼んで
エレン
アニか……かわいい名前だね
彼女はそう言われて、頬を赤らめた。


照れているのを見ると、嬉しかったのかもしれない。









しかし頬を赤らめたのも一瞬で、アニはあわてて立ち上がり辺りをキョロキョロしていた。


エレンも真似するかのようにキョロキョロと辺りを見渡すと、周りにあった大きな壁がなくなっていたのだ。


どこにも壁は存在しておらず、2、3度見たとしてもそこには壁がない。
エレン
(どうなっているんだ!?)
エレンは思わずその場で尻もちをついた。
アニ
エレン、これはまずい状況だ。
逃げた方がいいかもしれない
彼女は遠くを眺めながら、つぶやく。
エレン
(何を眺めているかは全く分からないが、とにかく俺が見に行かなくては! )
エレンはそう思いながら家の屋根から飛び降りて、せまい通路に着陸した。


彼女もひょいひょいと軽々に飛び降りて、エレンの後ろに着陸する。
エレン
どうしてまずいかは知らねえけど、俺がぶっ潰してやる
エレンは叫び声をあげながら、近くにあった鉄のぼうを振り回す。


けれど彼女はそんなエレンを見て、耳元でこうささやいた。
アニ
相手は……巨人だ。
この国の壁は『始祖の巨人』によって、壊された。
不戦のちぎりが壊されてしまったようだ
エレンはそれを聞いて、びくりと肩を震わせる。







ここは壁がなく、人も全然いないところから見て異世界なのだと彼は理解した。


少女アニが言うには、ここにいる全ての人間は巨人に食い殺されたという。







細い道を突き進み、広々とした空間に出ると巨人の恐ろしさがようやく分かった。

なんと大きな身体をした得体のしれない物体が人を食いちぎっていたのだから。


真っ赤な血が吹き出て、その赤黒い液体はビタリと家の壁に付着する。











エレン
(これが異世界の恐ろしさ……なのか……)

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プッチンプリン
プッチンプリン
シリアスな話と奥の深い話が好きな人です。 主にBLとホラーとダークファンタジーを書いてます。 よろしくお願いします👍👍 フォローされてもフォローを返さないこともよくあるんで、ご注意ください。 また満足できなかった作品は消す主義なので、よろしくお願いします。
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