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第9話

空白1
 エレンは人が死んでいくという絶望に襲われながら、あるものを見た。


 それが幻なのか、それとも現実なのかは定かではない。


 けれど、そこに不思議な世界が広がっているのは確かだ。
 




 エレンは空中に浮かぶ大きな島を見ながら、気味の悪さと好奇心が入り混じる奇妙な気持ちに浸っていた。


 あの島がいったい何なのかは分からないし、その島にあるものもよく見えない。
アニ
ちょっと……エレン
 高めの声がして、ふと我に返る。


 エレンがぼうっとしている間にリヴァイと団長とハンジが巨人討伐とうばつに行ってしまったようで、アニだけがエレンの近くに立っている。
アニ
何度も呼んだのに返事がないから、少し驚いてな。何か見えたの?
 アニは目をゆっくりと閉じながら、エレンに尋ねる。


 しかしエレンは何も言わなかった。というか、あの光景が信じられないのだろう。
エレン
(だって空に島が浮いているんだぞ。そんなのありえねえよ。言ったとしてもバカにされるだけだ)




 エレンは違う話をしようとすると、アニは階段を降り始めた。


 彼女だけ調査兵団の服も立体機動装置もないのだから、エレンと同じく役に立たないのだろう。


 だからアニだけおいてきぼりにして、討伐に行ったんだなと推測できた。


 だがアニの言葉によって、それが誤った推測だと知る。
アニ
彼らは巨人討伐に行ったわけじゃない。
アニ
始祖の巨人の所有者と、話をするために彼らは行った。邪魔になる巨人は討伐すると思うが、それが目的ではない
 アニは階段を降りながらさらっと告げたので、エレンは「始祖の巨人」が何なのかを想像し始めた。


 彼は始祖の巨人のことを知らないので、想像することしかできない。


 ただ彼が知っているのは、巨人に食われて人が死ぬということだけ。
エレン
アニさん!
 エレンは彼女に切羽詰まった口調で、呼びかけた。


 アニは目を開けて、青くて美しい目をこちらに向ける。


 エレンはその口調のまま続けた。
エレン
『始祖の巨人』ってなんですか?
アニ
それは……というか、なぜそれを聞くの?あなたなら知ってるはずだと思うけど……
 アニは言葉を濁してしまったため、エレンは彼女の態度に不満を感じた。


 なぜ教えてくれないのか、そして自分なら知っているはずというあの言葉。





 アニは何を考えているのか、やっぱり分からないな。
 








 エレンはこれ以上話しても無駄だと思い、階段から飛び降りて風をきりながら素早く走る。


 アニもエレンの後を追いかけて、走る走る。
アニ
エレン! どこに行くの?
エレン
始祖の巨人に会いにいくんだよ。
所有者も気になるし
 走りながらこんな会話をしていると、目の前に巨人が立っている。


 エレンたちは立ち止まり、その巨人の顔を見やる。


 細い身体をしており、骨が見えるくらいのガリガリな巨人だ。


 動きが素早く、行動の推測もしにくい厄介なやつだ。
アニ
あれは奇行種かもしれない。
これは逃げられないな
 アニは冷静にそう言っている時に、少し間を開けたところにいるエレンの目の前に奇行種が飛び出してきたのだ。


 バカでかい口を開けながら。
アニ
エレン、伏せて!
 アニはエレンの隣で、甲高い叫び声をあげた。


 エレンは緑色の瞳をさらに大きくし、自分が今どんな状況であるか理解しようとした。
 
 








 ……エレンはこのまま、巨人に食べられるのだろうか?

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プッチンプリン
プッチンプリン
シリアスな話と奥の深い話が好きな人です。 主にBLとホラーとダークファンタジーを書いてます。 よろしくお願いします👍👍 フォローされてもフォローを返さないこともよくあるんで、ご注意ください。 また満足できなかった作品は消す主義なので、よろしくお願いします。
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