第3話

あの日の放課後
886
2018/06/01 12:58
あの朝のやり取りから、あっという間に放課後に。
美夜子
美夜子
…椿姫ちゃん、遅いね。
雪菜
雪菜
そうですね。もしかしたら、悪いミーティングなのかも。
その時だった。






♩~♬♬~♬♩…
フルートのとてつもない連符の美しいメロディーが聞こえてきたのだ。
雪菜
雪菜
(キレイだなぁ)
思わず聞き入ってしまった。
美夜子
美夜子
無伴奏フルートのための12のファンタジア…。
雪菜
雪菜
えっ?なんかの呪文ですか?
美夜子
美夜子
違うわよ〜。有名なフルートのソロ曲。
こう見えても私、吹奏楽部出身なの。
先生吹奏楽部出身なんだ。

しらなかったな。
雪菜
雪菜
音楽室からじゃ…なさそうですね。
美夜子
美夜子
きっと、どこかの空き教室でも使ってんじゃない?
そんなやり取りの間も、休む間も無くフルートは演奏され続ける。
雪菜
雪菜
…いつまでも、聞いてられそうですね。
美夜子
美夜子
うん。だけどなぁ、すごく悲しい音してる。
え?こんなにキレイなのに?
美夜子
美夜子
気持ちって、音楽に反映されやすいのね。
このフルートの音の持ち主にあってみたい。

その言葉は、なぜか言えなかった。

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