第20話

『パレットツリー』の精霊、ジャンギー
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2021/07/21 09:00
 『サニーハート・ウィンドウ』と呼ばれる部屋は、突然激しく光りだした。
どこが光っているのだろうと、パキャは辺りを見回す。
パキャ
パキャ
─────!
 光が窓の前で集まりだし、突然眩しく光った。
パキャとファルは思わず目をつぶった。


───目を開けると、そこには、クマのような、仙人のような、優しげな雰囲気をまとう、そんな生き物が立っていた。手には、深緑色の宝石がついた杖を持っている。
 その老人は言った。
ジャンギー
ジャンギー
我が名は「ジャンギー」。
この『パレットツリー』の精霊じゃ。
パキャ
パキャ
ぱ、『パレットツリー』の精霊!?
......って、何?
ファル
ファル
......パレットツリーは、この大木のことだ。
ジャンギー
ジャンギー
うむ。
 と、ジャンギーは頬を緩めて、
ジャンギー
ジャンギー
ジャンじいでいいよ。
お二人さんの名前は?
 と、パキャたちに話しかけてきた。
パキャ
パキャ
私は、パキャだよ!
ファル
ファル
......ファルです。
ジャンギー
ジャンギー
......やっぱり......
ファル
ファル
......何かおっしゃいました...?
ジャンギー
ジャンギー
...い、いや、何でもない。
とりあえず、よろしくなのじゃ。
パキャ
パキャ
よろしくね!
 パキャは、やっぱり年上に対してもかわりなくタメ口だ。

老人が口を開く。
ジャンギー
ジャンギー
わしは、自分でいうのもなんじゃが、物知りなんじゃ。
困ったこと、知りたいことがあればいつでもここに来るとよいぞ。
それと、......他のみんなの顔もみたいんじゃが。
パキャ
パキャ
......他のみんなって、何で知ってるの?
ジャンギー
ジャンギー
あ、えっと、まあ、声の主は二人だけじゃなさそうだったからじゃ...。
パキャ
パキャ
ふーん。
じゃあ、よろしく!
ほらファルも!
ファル
ファル
......よろしくです。
ジャンギー
ジャンギー
うむ。それでは。
 ジャンじいは、部屋の奥に消えていった。
それと同時にパキャとファルも帰ることにした。
パキャは、ファルの顔色がとても悪いことを思い出す。
パキャ
パキャ
だ、大丈夫なの!?
ファル
ファル
.........さっきよりはマシ。
パキャ
パキャ
だからって、こっちくるんじゃないよ!
また走ったんでしょ!?
ファル
ファル
..................
パキャ
パキャ
とにかく、帰るよ!
ベッドに早く横になって!
ファル
ファル
..................
 パキャはファルのてをとって、もときたみちを戻り始めた。
デビちゃんは、ファルの手のなかで、寝息を立てていた。

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