家に帰ると急いで荷物をまとめた
"ごめん樹、今日残業で遅くなりそうだから先輩の家に泊まらせてもらうことにしました"
そう樹にメッセージを送り、家を出た
さてここからどうしようか。
とりあえず入ったカラオケの個室でこれからのことを考える
2時間前に送ったメッセージの樹からの返信はない
まだ飲んでいるのだろうか
それとも…あの子と一緒にいる?
いいんだ
元の距離感に戻ればいいだけだ
私と彼はただのアイドルとファン
「imitation rain歌っちゃおうかな〜」
曲を入れると本人映像で。
画面越しに樹が写り、思わず涙が一筋落ちた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!