この一年仕事だけが私の支えだった
ちょうど彼と別れたあと出たドラマが大ヒットして。
色んなことをさせてもらえた
賞だって、人気だって、得たものはたくさんある
きっと他の人がどうしても手に入れたいものを私はたくさん持っている
愛されたかった人に愛されなかった
そんな人はこの世界に何人だっているだろう
考えることをやめ、私はそっと目を閉じた
いよいよ音楽番組収録の日
生放送のため入念なリハーサルがある
私は少しコメントするだけだけど、歌手の方はカメラワークなどの確認など結構時間がかかる
「 SixTONESの皆さん入られまーす」
その声が聞こえて思わずそちらを見る
背が高い6人組の中にあなたがいた
前より少し痩せたような気がする
目が合わないように
私はそっと台本に目を落とした
ジ『あ!新田あなたさんですよね?はじめまして!』
私の目の前にキラキラスマイルのジェシーくんがあらわれる
メンバーは私と樹のことを知らないから仕方ない
「はじめまして」
差し出された手に手を重ね握手する
ジ『俺、あのドラマめっちゃ好きで!
あ、今から俺らリハやるんで絶対見てくださいね!』
まだ SixTONESは時間があるのか他のメンバーはダンスの確認などしている
「ありがとうございます、じゃあ見させてもらいますね」
ここで変に断る方が不自然だろう
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!