~紫耀side~
厄介なことになった
いきなり事務所に呼ばれて行ってみると、バンッ!という効果音付きで目の前に突き付けられたのは一枚の記事
どうやらすでにネットニュースになって世に出回ってるらしいその記事には俺とレイナちゃんが写ってる
それを見たと同時に当時の出来事が一瞬で蘇った
レイナちゃんが勝手に俺のマンションに来た時のやつだ…
俺はもちろん否定した
まあレイナちゃん側も否定してくれてると思いきや、黙秘を貫いてるらしい
いやいや、意味わかんねえから
黙秘ってなんだよ
付き合ってるってホラ吹かれた訳では無いけど、ハッキリ否定をしてる訳でもない
マジで意味わかんねえ
しかも社長は怒りの矛先をあなたさんにも向けてるし
自分のタレントの管理もちゃんと出来てないとか云々…
いやいや、あなたさんは悪くねえだろ!
そもそも俺とレイナちゃんの間には何もねえから!!
もう一度言わせてもらおう
マジで意味わかんねえし、マジで厄介だ
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今回の件に関して特に処分とかは無かったけど、社長は納得してないようだった
写真を撮られてしまった以上、この熱愛報道は信憑性が高いと思ってしまってるっぽい
でも俺はひたすら否定するだけだ
だってホントに俺はレイナちゃんと付き合ってないし、何よりも俺はあなたさんことが大好きだ
あなたさんのことしか考えられない
……あなたさんとの熱愛報道なら良かったのに
さて、今から俺はまた否定をしまくる
次はあなたさんを相手に…
あなたさんが言葉を発するのをじっと待っていると、困ったような顔をしながらようやく口を開いてくれた
ホントなら明日帰って来る予定だったのに車を飛ばして来てくれたのだろう
事情が事情だし、こんなこと思うのは不謹慎なのは重々承知だけど嬉しい
だってずっと会いたくて堪らなかったから…
そう言いながら俺はあなたさんの隣に移動すると、肩をピッタリと寄せ合うように腰を下ろした
でもすぐにあなたさんはそれを避けるかのように、俺との間を少し開けて座り直してしまった
そして顔を伏せながらポツリと言葉を零し始めた
パッと伏せてた顔を上げたあなたさんと視線が重なり合う
しかし俺はあなたさんの表情を見た瞬間、胸が締め付けられて苦しくなった
だってあなたさんの目には涙がいっぱい浮かんでたから…