~あなたside~
予想外な出来事により1日早く帰って来た東京
焦る気持ちを抱えながら車を飛ばしまくり、事務所までやって来た
果たして紫耀くんの熱愛報道はホントなのか
どうかデマであってほしい
私の頭の中はそればかりを占めている
だって私の心はもう紫耀くんが……
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と、ネットの記事をわざわざ印刷したのか用紙をバンッ!と叩いた事務所の社長
その顔は相当ご立腹のようだ
何も言い返せない
だって社長の言う「こんなの」とは、紫耀くんとレイナちゃんが手を繋ぎながら自動ドアを入って行く姿
その場所は紫耀くんの自宅マンションだ
何度も行き来した事のあるこのマネージャーの私が見間違えるわけが無い
そっか、紫耀くんは否定してるのか
それを聞いてモヤモヤしてる気持ちが和らいだ
でもほんの少しだけだ
画像に写ってるのは後ろ姿だけど紫耀くんとレイナちゃんって分かる人ならすぐ気付くだろう
その2人の手はしっかり触れ合ってて…
手を繋いでるように見える
でもどうして紫耀くんはこんなこと…
紫耀くんは私のことが…
ってまだハッキリ心の内を聞いたことが無いけど
きっと私のことを想ってくれてると思ってたのに…
私の問いに首を縦に振った社長
何で否定してないの?レイナちゃん
黙秘だから熱愛を認めたわけでもなさそうだけど…
一体どういう事なの?
再び首を縦に振った社長
もし仮にレイナちゃんが紫耀くんと交際してるとハッキリ言ってしまえば世間はそれを鵜呑みにしてしまうだろう
否定の言葉よりも肯定の言葉の方が人間は食いつく
紫耀くんの否定する言葉よりもレイナちゃんの肯定する言葉の方にメディアもきっと注目するはず
こんな事にならなかったのに、と鋭い視線を向けられた
その社長の目はまるでどう責任を取るつもりだと私を責めているようで…
社長に向かって深々と頭を下げた
それに対して社長はため息を吐くだけ
やっぱり実家に帰らないでいつも通り私がちゃんとマネージャーとして紫耀くんを管理していれば…
それだけではない
アイドルにとって恋愛はご法度…
決して恋愛感情を持ってはいけない
改めてシビアな現実を目の当たりにし、私はやるせない気持ちでいっぱいになった