~あなたside~
実家で過ごす6日目の夕方
明日には東京に帰るため、今日は母が1人では出来なさそうな家中の大掃除を行った
それはもう年末の大掃除か!ってくらい
いや、もしかしたらそれよりも念入りに色んな箇所を掃除しまくったかもしれない
長時間狭い屋根裏部屋にいたから背中も腰もバキバキだ
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自室に戻るとすぐ手に取ったスマホ
仕事の案件どころか紫耀くんからのLINEも来てない
少し残念…なんて思いながらも私からLINEしてみようかなって考えたけど、真剣にお芝居をしている紫耀くんの姿を思い浮かべてそれは止めといた
きっと撮影が終わって家に帰って来たら連絡が来るはずだし
私も一日が終わる前に交わす紫耀くんとの通話は好きだ
今日も早くその時間にならないかな…
なんて期待に胸を躍らせながら何気無くネットニュースを開いたら思わず心臓がギュッと鷲掴みされたような感覚に陥った
1人で呟く声も、スマホを持つ手も震える
そして鷲掴みされた心臓が今度はドクドクと嫌な音を立てながら急激に速まる
額に冷たい汗が滲みそれが頬を伝い流れる
呼吸も上手く出来てるのかも分からない
状況を理解しないといけないのに、ちゃんとネットニュースの文字が読めない
いや、読めないんじゃなくて読みたくないと私の目が拒絶してるようだ
記事と一緒に載せられている画像をだだボーッと見つめていると、スマホ画面は着信に切り替わりそれを知らせる音が鳴り響いた
着信の相手は…事務所からだ
要件内容はやはりネットニュースの事だった
電話の向こう側の事務所の人間は淡々と要件を伝えて来る
それに対して私はちゃんと受け答えが出来てるのだろうか
震えと汗が止まらない
電話を切るとより一層強く聞こえてくる自身の心臓の音
バクンバクンと早いリズムで刻み続けてる
そして極度の緊張と焦り
マネージャー業をし始めてこんな事態と気持ちになったのは初めてだ
まさか紫耀くんに熱愛の報道が出るなんて…