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第6話

近づく距離①
何も本を持たずに、図書館のいつもの席に着く。
少し視線を痛く感じるのは、きっと昨日の騒ぎのせい。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(私も、中心人物だと思われたんだろうな)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(カウンターにいるの、昨日と同じ司書さんだ……)
ドキドキしながら、目をそらす。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(お、追い出されたり……しないよね?)
カウンターから、カタンと音がする。

静かな図書館では、人の足音もよく響く。
目を合わせないようにしているから、誰の足音なのかは確認することは出来ないけれど、きっと司書さんだ。
足音は、こちらに向かって大きくなる。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(昨日のことを注意されるのかな)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(図書館大好きなのに。来づらくなっちゃう)
足音が、すぐ後ろでピタッと止まる。
絶対に注意される。
そう思っていたのに、
福原 雪哉
福原 雪哉
茉莉花
小さくかけられた声は、想像と違ったものだった。
福原 雪哉
福原 雪哉
ごめん、待った?
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
あ、ふ、福原くん?
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
いえ、全然……。私も今来たところで
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(すごい。よく見る、デートの待ち合わせの会話みたい)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(デートじゃないけど。付き合っているふりをしているだけだけど)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(それでも、すごくドキドキする……)
福原くんはチラッとカウンターを見て、私の腕をとった。
福原 雪哉
福原 雪哉
今日はここじゃなくて、もっと奥のほう行こう
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
は、はい
福原くんに連れられて、図書館の奥の方にある、学習スペースへ。
家にある勉強机を大きくしたような席がいくつか並んでいて、
ひとつの席で定員は二名。
ふたつ並んだ椅子に、ふたりで隣同士に座る。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(思ったよりも近いな)
肩が触れるか触れないか、ギリギリの距離感。
角度を少し変えただけでも、ぶつかってしまいそう。
福原 雪哉
福原 雪哉
茉莉花、今日はまだ本持ってないんだ
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
うん、福原くんのこと、待ってたから
福原 雪哉
福原 雪哉
……
パッと目をそらされる。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(変なこと、言ったかな?)
不安になって、顔を見ようとすると、それよりも先に福原くんがこちらを見て笑った。
福原 雪哉
福原 雪哉
俺は、昨日の続き読もうかな。持ってくる
福原くんが、昨日読んでいた本。
それは……
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
あの、それって『海の幽霊』ってタイトルじゃない?
福原 雪哉
福原 雪哉
うん、そうだよ
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
おもしろいよね、あの話。私、作者さんの別の作品も好きで
福原 雪哉
福原 雪哉
茉莉花も読んだ? 俺はそろそろ読み終わるんだけど、あれ、あそこがよかった。リュウがドライブ中にさ
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
あっ、信号待ちのところ?
福原 雪哉
福原 雪哉
そうそう、あれ! 赤信号になった瞬間、ズルかったよな
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
作者さんの表現、すっごくロマンチックなんだよね
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(た、楽しい……!)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(たまにSNSで、画面の向こう側の人たちと語り合ったことはあるけど、直接感想を言い合うのは初めて)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
私が特に好きなのは、ラストの
福原 雪哉
福原 雪哉
待った。俺、まだそこまでいってない
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
とっさに口を手で押さえる。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(ネタバレをするところだった!)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
ご、ごめんなさ……!
福原 雪哉
福原 雪哉
ちょっと待ってて
福原くんは、席を立って本棚のある方へと去っていってしまった。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(怒らせちゃったのかな……)