第18話
初デート③
ブンブンと首を振って、体を乗り出して力説する私に、福原くんがキョトンとした表情を見せる。
クスクスと笑われて、恥ずかしい。
赤くなった顔を少しでも隠したくて、うつむく。
スッと差し出された手のひらに、ハテナがひとつ。
見上げる顔は、赤い。
いつまで経っても行動に移そうとしない私に焦れたのか、強引に右手が奪われる。
大きな手のひらに、私の手がすっぽりと埋まって、見えなくなる。
一歩先を歩く福原くんの後頭部を見て、祈る。
自分が今、どんな顔をしているのか見えなくて、困る。
*
手を引かれて連れてこられたのは、小さなお店。
赤い屋根が印象的な、……雑貨屋さん?
と、グイッと手を引かれて、勢いのままに入口を通る。
ドアが開くと、カランカランと軽快なベルが鳴った。
外から見た状態だと、雑貨屋さん。
その、中は……
狭い店内に、まるい小さなテーブル席が四つ。
そして、壁一面には本棚が所狭しと並んでいた。
てっきり、福原くんが好きなところに行くのだと思っていた。