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第10話

日直の日に
翌日。

一日の授業も終わり、放課後になったけれど、まだ帰れそうにない。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(日直だと、これ書かなきゃいけないんだっけ)
日直の当番が回ってきた際に書かなければいけない日誌を前に、私は少し困っていた。
じーっと、見られている。
もうひとりの日直、石山いしやまくんに。
私の前の席に後ろ向きに腰かけて、何をするでもなく、ただ見ている。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(き、気まずい……)
男子とはそもそも喋ったことのない私が、よりによって石山くんと。
石山くんは、髪の毛を赤っぽいブラウンに染めていて、制服も着崩していて、口調もちょっと乱暴な感じで……。
もちろん、私の苦手なタイプ。
クラスの男子
石山、お前帰んねーの?
石山
石山
俺、日直らしくて
クラスの男子
らしくて、ってなんだよ
石山
石山
黒板に名前があんの見て、気づいた
クラスの男子
バカじゃねーの。最後まで忘れときゃよかったのに
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(黒板を消すのも、授業前の号令も、全部私がやりましたもんね……)
と、思いはするものの、実際に声に出すことなんて出来ない。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(どうせなら、本当に最後まで忘れてくれていればよかったのに)
教室から続々と生徒たちが帰っていく中、石山くんは私の前からジッと動かない。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(一時間目は、世界史)
石山
石山
……
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(二時間目は、現国)
石山
石山
……ふああ
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(き、気になる……!)
日誌に今日の時間割を書き写している間も、石山くんはあくびをしたり、つまらなそうにその様子を観察しているだけ。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(居るだけなら、帰ってもらった方が助かるなぁ……)
と、もちろん、そんなことも言えるはずはない。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(せめて、出来るだけ早く終わらせよう)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(福原くんのことも、待たせちゃってるかもしれないし)
石山
石山
吉岡ってさあ
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
え……、えっ?
初めて名前を呼ばれた。
驚いて、日誌に向けていた視線を、思わず上げる。
石山
石山
放課後になると、いつも急いで教室出るよな。バイトでもしてんの?
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
えっ……と、バイトじゃなくて、図書館に行っているだけで……
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(いつもって言った? いつも見られてたってこと?)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(そんなに目立っていたかな。コソコソしてたつもりだったのに、恥ずかしい)
石山
石山
図書館? 行って何すんの
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
図書館なので、本を読みます……
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(なに? これ、何の時間?)
石山
石山
これ書き終わったら、今日も図書館?
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
一応、そのつもりで……
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(気をつかわれているとかなのかな。一緒に日直になったからって、場を持たせるために?)
石山
石山
図書館なんか毎日通って楽しいか?
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(ううん、悪口かな……)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(図書館“なんか”って言い方、好きじゃない……)
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
うん、私は楽しい……けど
石山
石山
へー
面倒そうに石山くんが話しかけてくる時にも、日誌を書く手は止めない。

あともう少し。
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花
(よし、これで終わり)
石山
石山
俺も行こっかな
吉岡 茉莉花
吉岡 茉莉花