『おはようさん、あなたちゃん』
そして次の日から
宮侑との登校生活が始まった
とはいってもバレー部は朝練が
水曜日と金曜日にあるから
実質週に三回だけなんだけどね
『あれが侑くんの彼女なん?』
『宮くんと付き合える世界線羨ましすぎるわぁ!!!』
まぁお分かりの通り
周りからの視線は凄いのだけど
バレー部はもちろん部活だから
放課後は一緒に下校しない
『はいよ、今日は寒いからミルクティーな』
『気が利くやん。ありがとう』
宮侑は一緒に登校し始めてから
毎日かかさず
真面目になにかジュースを買ってきてくれていた
こう見えて意外と真面目なところあるんだよなぁ
てかもうそろそろ奢らんでもええのに
なんか申し訳なくなってくる
『宮侑、そろそろ奢らんくてもええよ』
『???なんでや、約束やん』
『申し訳なくなってくんねん』
『別にジュースくらい大したことないんやけど』
『それでもええわ!!!』
それになんだかんだ楽しいし
最初は痛いほどの視線に
地獄だなと思っていたけど
宮侑と話しながら登校する生活は悪くないなと思ったり
『そんならお言葉に甘えて』
『珍しく宮侑が素直やな』
『てか』
『ん?』
『そろそろちゃんと名前で呼んで欲しいんやけど』
そう指摘されてハッとした
気づけばまた宮侑呼びに戻っているではないか
『あぁ、すまんすまん、忘れとった』
『いつまでもフルネーム呼びはなんか寂しいわ』
時より侑が見せるその態度がこそばゆい
『じゃあ侑は私の事ちゃん付けなくてええよ』
『わかった、あなた』
『ふふ、なんか照れるわ』
『・・・
せやね』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!