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第22話

22
姫宮理央
姫宮理央
…もう夜明け前っていうか空の色が薄いね…
海斗
海斗
…そうだな


朝日が昇る前の薄暗い道。

気を失ったままの伊織を理央が。

嵐士を海斗が背負い、駅に向かう。

海斗
海斗
…伊織を背負えるなんて…
見かけに寄らず姫宮は力持ちだな…
姫宮理央
姫宮理央
あはは…よく言われる
海斗君は見た目通り力持ちだね
ニョロ子
ニョロ子
んむ〜理央にょんお腹減ったにょろ〜

長い時間、実体化して疲れたのか、
霊体化した状態で理央の肩でグダる。

海斗
海斗
…しかし驚いたな
…帰ろうとした時に伊織の叫ぶ声が
聞こえてきて探してたら…
今度は女の叫び声が聞こえて…
まさか伊織がロッカーの中から
出てくるとはな…
姫宮理央
姫宮理央
…そうだね…
(なんて言ったら良いのやら…)
海斗
海斗
…疑ってた訳じゃないんだが…
姫宮の言ってた事は本当だったんだな…
姫宮理央
姫宮理央
………うん
海斗
海斗
…姫宮、その…
嵐士
嵐士
…うーん……
ハッ!!

海斗が何か言いかけた瞬間、
遮るように目を覚ます嵐士。

海斗
海斗
…起きたか嵐士
嵐士
嵐士
海斗?!な、何で俺おんぶされてんだ?!
降ろせよ!
海斗
海斗
…騒ぐな…近所迷惑だ
嵐士
嵐士
じゃあ降ろせよ!
ってあ!姫宮お前なんで
伊織のことおんぶしてんだ?!


どうやらメリーさんを見たことが
余程ショックだったのか
前後の記憶が抜け落ちてるらしい。

……なんて説明したものか。

姫宮理央
姫宮理央
えーと…気絶しちゃったみたいで…
嵐士
嵐士
…気絶?
は!まさかお前…裏切られた
仕返しに変な力使って伊織の事呪ったのか?!
姫宮理央
姫宮理央
はい?! 


半端に思い出したのか、
すごい難癖をつけてくる嵐士。

海斗も呆れ顔だ。

海斗
海斗
…はぁ…
姫宮、悪いがこれ以上
近所迷惑になる前に先に行くな
姫宮理央
姫宮理央
…え、あ、うん、
嵐士
嵐士
なんだよ海斗
てめぇどっちの味方…
海斗
海斗
…じゃ、姫宮、また学校で

そう言って少し笑う海斗。

姫宮理央
姫宮理央
(あ…笑った顔はじめてみた…)
嵐士
嵐士
?!てめっこの海斗!
留年ヤロー!
話はまだ終わってねっ…てか
降ろしやがれぇええええ!


嵐士の叫び声が木霊して遠のいてく。
姫宮理央
姫宮理央
(…また、学校で…か)

…なんだか海斗と友達の1歩に慣れたような
そんな気がした。








姫宮理央
姫宮理央
よいしょっ…
…こうして歩くと案外駅まで遠いんだな
伊織
伊織
………じゃあ置いてけば
姫宮理央
姫宮理央
…伊織君!
気がついたの?
伊織
伊織
……


背中越しに語りかけるが、
伊織は顔を背けたまま何も言わない。

姫宮理央
姫宮理央
(なんか機嫌を損ねてしまった…
私一応運んであげてるのに…)
(というか気がついたなら
降りてくれて良いんだけど
降りる気配がないな…)
ニョロ子
ニョロ子
ムカつく男ニョロね!
理央にょんに助けられといて
お礼の1つも無いどころか
何で不機嫌決め込んでるニョロ?!
伊織
伊織
…化け猫には関係ないだろ…
ニョロ子
ニョロ子
?!ニョロ子のこと見えてるニョロ?!
ていうか!化け猫じゃないニョロ!!
ニョロ子はニョロ子にょろ!!
姫宮理央
姫宮理央
ま、まぁまぁ…ていうか伊織君、
霊体化してるニョロ子見えるなんて…
霊感強い?いつから見えてたの?
伊織
伊織
…ロッカー出た時から
何か変なのがアンタの横に
飛んでるなって思ってた…
ニョロ子
ニョロ子
ムキーっ!!
変なのとは何ニョロー!!
理央にょん!すぐこの男を捨て置くニョロ!
だいたいコイツは自業自得ニョロ!
怨霊化メリーさんに
目をつけられたのも女の子と
浮気しまくったせいニョロ!
しかも可愛い子だけに優しくして、
理央にょんに冷たかったニョロ!
助ける義理なんてこれっぽっちも
無いニョロ!!!
姫宮理央
姫宮理央
今さりげなく私の事馬鹿にしなかった?
伊織
伊織
……なんで?
姫宮理央
姫宮理央
…えーっとなんで伊織君が
襲われたかというと、多分、
大きい理由はさっきニョロ子が
言った通りかな…
姫宮理央
姫宮理央
…あとは元々、
学校っていうのは色んな人の
良い念も悪い念も集まる場所で…、

加えて磁場の悪さと
女の子達の念が重なっちゃったのかな…
それがたまたま人を
追い掛けるタイプのメリーさんと
シンクロしちゃったというか
姫宮理央
姫宮理央
まあ女の子達の念が
一番多くて大きかったんだろうね、
伊織君に対しての

あ、でも!それだけ伊織君が
他の人よりモテてるって事だから…
伊織
伊織
……
姫宮理央
姫宮理央
……?
伊織
伊織
…そうじゃないよ、
なんで助けたの?
俺初め優しくしてから
裏切るっていう最悪のパターンやったし、
提案したの俺だよ?
ニョロ子
ニョロ子
やっぱそうニョロ?!
姫宮理央
姫宮理央
うーん…なんでって言われると…
伊織
伊織
……ロッカーに閉じ込められてる時ね、
夢を見てた

今まで俺のこと好き好き言ってくれたコ達が何人も閉じ込められてるロッカーの前までくるんだ

でも誰一人として俺に気づかない

気づきにそうなっても別のやつに呼ばれてどっか行っちゃうんだ
姫宮理央
姫宮理央
……
伊織
伊織
でも俺当然だなって思ったよ

だって元々そーいう付き合いだったし

考えても見てよ

親だって裏切ることがあるのに、増して会って数年にも満たないヤツなんて、ねぇ?
姫宮理央
姫宮理央
……
伊織
伊織
…でもいよいよもうダメだって時にアンタの声が聞こえて…
なんでかな…アンタなら助けてくれるかもしれないって思ったんだ…アンタってそういう力でもあるの?
ニョロ子
ニョロ子
ずいぶん勝手ないい分ニョロね!プンプン!
姫宮理央
姫宮理央
…ええと…それは多分、
私がどうこうとかじゃなくて
伊織君は…本当は誰かに助けて
ほしいって思ってたからじゃないかな
姫宮理央
姫宮理央
その…私は伊織君が他人を
簡単に信用出来ないとか、
すぐ裏切られるのが当然とか、
なんでそんな風に思うように
なったかはわからないけど…
姫宮理央
姫宮理央
そうやって頭ではわかってても、
本当は、心の奥底では
他人を信用したいし、されたいし、
困ってたら助けて欲しいし、
助けたいって思ってたから…
私を呼んだんじゃないかな…
伊織
伊織
……………なんだよそれ…
超だせーじゃん俺…
姫宮理央
姫宮理央
そんなことないよ、
呼んでくれて嬉しかったし…
だって呼んだって事は私なら
なんとか出来るかもしれないって
少しは思ってくれたからだよね?
ニョロ子
ニョロ子
理央にょんは変なところで
ポジティブにょろね〜
良いように使われたとも言うニョロよ〜
姫宮理央
姫宮理央
…私、兄がすごく優秀で、
人に期待されることあんまり
今までなかったから、周りは
気楽で良いって思ってたかも
しれないけど…
姫宮理央
姫宮理央
その内、自分1人じゃ何もできない様な
気がしてたから…だから、
今日メリーさん怨霊化事件解決
出来たの自分ですごいビックリしてる
姫宮理央
姫宮理央
変な言い方だけど…
だから今日は…良かったなって
思ってて…
伊織
伊織
…ジミちゃん…
…オカルト好きのただの変わり者の
世間知らず金持ちだと思ってたけど、
悩みとかあったんだね…
姫宮理央
姫宮理央
そんな風に思われてたの?!
ま、まぁ良いけど…
うん、悩みっていうかなんていうか…
このままで良いのかなっていう
漠然とした不安から派生した
成幸とも言えるけど
ニョロ子
ニョロ子
理央にょんはウジウジしてるくせに
勢いがある時は凄いニョロ!
こっちも引くくらいの行動力を
見せてくるニョロ!
姫宮理央
姫宮理央
人を暴れ機関車みたく言うのやめてくんない?
伊織
伊織
……そうだよな…皆…
悩んでることとかあるよな…
それぞれ…わざわざ言わないだけで…
姫宮理央
姫宮理央
………あ、
ニョロ子
ニョロ子
ニョー






朝焼けだ。




姫宮理央
姫宮理央
うわー…久々に見たかも…綺麗だね!
ね、伊織君…



そう言って背負ってる伊織を振り返る。

伊織
伊織
………
姫宮理央
姫宮理央
…!
(ど、どうしよう…泣いてる?!)
(えっ何で…?
私なんかしちゃったかな…
ていうかカッコ良い子は
泣く顔までカッコ良い…
じゃなくて!!)
姫宮理央
姫宮理央
あ、あのね…この、
今着てるカッターシャツだけど…
もう洗うし、汚れても全然大丈夫だから、
その…鼻水とか涙付けても
気にしなくて良いからね!
伊織
伊織
……アンタって本当デリカシーないね
姫宮理央
姫宮理央
えっ!気を遣ったのに…!
ニョロ子
ニョロ子
そんなもの理央にょんに
求める方が間違ってるニョロね〜
姫宮理央
姫宮理央
えー…そんなにないかな…
デリカシー…
伊織
伊織
………


ギュッ。

理央に一層抱きつく伊織。


姫宮理央
姫宮理央
!ど、どうしたの?
そんなにしがみつかなくても
落とさないよ?
ニョロ子
ニョロ子
ていうか気がついたなら、
そろそろ降りろニョロ!
伊織
伊織
……ヤダ
デリカシーない事言った罰に
駅までちゃんと俺の事運んで?
ニョロ子
ニョロ子
はぁ?!えらっそーに!
どの口が言うニョロ?!
姫宮理央
姫宮理央
まぁまぁ…あとちょっとで着くし
眠かったら寝ちゃっても良いよ?
ニョロ子
ニョロ子
はぁ〜理央にょんはお人よしニョロー
だから良いように使われるニョロー
姫宮理央
姫宮理央
はいはいー
あ、始発の電車ってどんな感じかなー?
私乗ったことないんだよね
ニョロ子
ニョロ子
きっと朝帰りリーマンが沢山ニョロ
姫宮理央
姫宮理央
ええーそれ偏見じゃない?
伊織
伊織
……理央ちゃん…



騒がしく2人には聞こえないほどの
声でつぶやく。

伊織
伊織
あんな暗い所に…嘘ついて…
1人置いてって…ごめんね…
言ってる途中で涙声になる。

情けないと思いつつも
コレだけは聞こえても聞こえてなくても、

今言っておかねばならないと思った。


何も言わない理央。


…聞こえなかったのだろうか。

…もう一度言う勇気は無かった。


けど、返事の代わりに母親が子どもを
あやすように背中をポンポンと二回たたかれる。


振り向かない理央が微かに笑った気配がした。





……夜が明ける。


こんなに明るい朝は初めてだと、

伊織はゆっくり目を閉じた。









end.