第12話

起死回生
60
2018/06/23 07:24
珠side
彩と急遽、スタメンでバッテリーを組む事になった。正直、不安と心配しかない。でも、彩の方が苦しいはずだ。俺は彩を超えることは出来ない。俺が頑張っているときは彩は人一倍頑張ってて、俺が苦しいときにも人一倍苦しいはずだ。
だから、せめて彩が安心して出来るように俺が彩より頑張らなくちゃいけない。
審判
審判
気をつけ――――――礼。
部員全員
部員全員
お願いします!
そして試合が始まった。
後攻スタートだったが、まだ結果は分からない。

俺たちのバッテリーは順調だ。
★★123456789★★
相手015303021 15
自校02241012 12
ラストの回。
今はツーアウト満塁の
大ピンチ&大チャンス。
そしてバッターは俺。
(スリーアウト交代です。)

ファーストには千優、
セカンドには龍樹、
サードには章大がいる。
そして後ろには彩がいる。
彩
珠!
珠
何?
彩
プレッシャーなんかに負けんな!
思いっきりやってこい!
珠
…………おう!
あったりまえな!
彩や松原さん、それに、越後さん、斎藤さん、みんなの期待を背負いながらバッターボックスへ向かった。
相手の選手の顔は混乱していて、凄い顔になっている。これは余裕の無い顔だ。
一球目。
ストライクを取られた。
でもまだ俺は諦めない。
二球目、
これもまたストライクを取られた。




………………次が肝心だ。
三球目。
俺はこれ以上にないぐらいいい位置で思いっきりバットを降った。
打った打球は綺麗な放物線を描きながら飛んで行く。
頼む。入ってくれ!
いくつかの沈黙の中、


「パシッ」


とグローブの音がした。
みんなが音のした方向へ視線を向けた。
彩
珠!走れーっ!
彩が叫んだ瞬間、止まっていた時間が動き出した。


ボールは外野手のグローブに当たっただけだった。


俺は全力で走った。


走って、走って、走って走って、


サードを過ぎた。


あとはホームへ走るだけだ。
ホームへ飛び込んだ。


ベースを触ったと同時にグローブが俺の体に触れた。


頼む!
審判
審判
――――――――――――「セーーーフ!」
部員全員
部員全員
よっしししゃぁぁぁぁーーーー!!
珠
え?、、。お。俺ら、勝ったのか?
彩
珠ーーーーーっ!
珠
さ、さ、彩。俺、、
彩
うん!勝ったよ!セーフ!
珠
…………っ彩っ!
俺は彩を抱きしめた。
彩も俺を抱きしめた。
2人で初めて、バッテリーとして出場した大会は、自校16点、相手校15点で勝利した。
琥珀
琥珀
珠ー!彩ー!
章大
章大
珠ーっ!よくやったっ!
千優
千優
やったなぁーっ!
龍樹
龍樹
珠と彩ーっ!
6人で抱き合った。この6人で初めての大会で、初めて勝って、、、逆転勝利で!
松原
松原
6人ともよくやったなぁっ泣
彩
松原っち泣かないで!
珠
そーですよ!笑顔笑顔!
琥珀
琥珀
松原さんも凄い頑張ってくれたじゃないですか!
千優
千優
ずっと応援してくれましたし!
松原
松原
もーごめんなぁ泣
みんなが頑張ってくれたからさぁ泣
部員全員
部員全員
星野ーー!中野ちゃんーー!
彩
みなさんまでっ!
顧問
顧問
よくやったなぁ!1年!
もうプレーには申し分ないぐらいだな!
珠
ありがとうございます!
龍樹
龍樹
せ、先生、あの、
顧問
顧問
ああ、越後と斎藤な。

命に別状はないそうだ。
軽い打撲とか骨折はしたらしいが
すぐに治るそうだ。
部員全員
部員全員
良かったー!

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