彩side
昨日の事が頭から離れなくて全然寝られなかった。思い出すだけで泣きそうになる……
\ピロン/
あ、越後さんからLINE来た!
朝早くから後輩の私達の面倒を見てくれるなんて……良い先輩を持てて良かった( ;∀;)
ピンポーン
ガチャ
私は学校へ先輩といろんな話をしながら向かった。
中学校の野球部の全国大会へ行った話、
私達が初めての女子部員で戸惑った話、
私がマネージャーを引き受けてくれて助かったって言う話……
沢山お話しした。
アップが終わった頃に他の先輩部員や琥珀達も来た。
や、やばい。完全にマズイ状況になった……
昨日の事を全部包み隠さず話した。もちろん珠には内緒って言う条件で。
珠side
……ピリリリリ
。。。。。?あ、朝か。
重い足取りで洗面所まで歩く。
俺の目の下には泣いた跡がくっきり残っていた。
力を込めて顔を洗った。
その後に、リビングへ向かう。
俺の父さんは海外で働いていて、母さんもたまに父さんの所へ仕事の手伝いに行く。1年の3分の2以上は二人とも海外に居る。
今は偶然に日本に帰って来ているけど明日にはまた出発するのだろう。
ご飯を食べて、制服に着替えて、花に水をやってからふと思った
散々悩んだ結果、彩ん家に電話する事にした。
プルルルルル
))もしもし中野ですけども。
))あれ?今日彩は部活の朝練があるって出かけたわよ?珠くん言われてないの?
朝練?なんの事か分から無かった。でもとりあえず電話は切った。
))うん。早めに学校行くのよ。
ガチャ
ただ、愕然とした。
朝練に行けなかったどうこうじゃない。
彩に完全に嫌われたと思ったからだ。
彩side
結局、珠に何を話そうか決められないまま、朝練が終わった。
すると越後さんは急に黙り込み、真剣な表情で何かを考えていた。
私には分かった。越後さんなりの気遣いだって事に。すっごくタジタジだったけど、すっごく私を気遣ってくれていて嬉しかった。
越後さんは初めて逢った時よりもニッコニコの笑顔で手を降って歩いて行った。
心がキュンとしたのは気のせいかな?
私、越後さんの事……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!