とは言ったものの、
今は寮に向かって3人で歩いている
女子寮の廊下を歩く。
ガチャ
カナヲは自分の寮に戻っていく
今日1日、あったばかりだけど、カナヲはすっごく優しい。
とっても仲良くなれそう
ガチャ
突然顎を持ち上げられて思わず変な声が出る
小さな声で呟いたアオイの顔は、心配と正義感が溢れるような顔だった
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我妻くんと寮で会う確率は少ないと思う
食堂で偶然会えたとしても、そんな長話をする余裕はない
それなら……
昨日、この時間に我妻くんは窓の外を見てた
スケッチブックとペンを用意して、カーテンを開ける
気まずそうに窓を閉めようとする我妻くんに、まって!と書いたスケッチブックを見せる
我妻くんは渋々といった感じで窓を開け戻してくれた
あわててスケッチブックに書く
“話したいです”
それを見せると、
我妻くんは急にいなくなった、
と思った
アワアワしていると、
我妻くんもガサゴソ何か探ってるような、、
そこには、我妻くんの文字で
“寮の入口きて”
と書かれていた
必死でコクコクと頭を振ると我妻くんは窓を閉めた
嬉しい!
ドアを開け外へ出る
今すぐ玄関にいかなきゃ!、
廊下の遠くから私を呼ぶ声
そうだ、忘れてた!ごめん2人とも!
2人に叫ぶ
じゃあ行ってるね、と学食に入る2人を背に、私も廊下をかけ出す
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。